老舗のお茶屋さんが作った抹茶スイーツっておいしいですよね。
昔から長く続く伝統の味。すたれることなく愛され続けるのにも納得! と感心することが多いです。
だから「老舗」とついているだけで期待値が上がります。
「寛政2年創業」とか「天保3年創業」とか、歴史の重みを感じるからでしょうか、これだけで人を説得させる力があります。「老舗」という言葉の強さですね。
ところが先日、まだ新しいっぽいバッグブランドのコピーに「老舗鞄メーカー」との文言が。創業年を見てみると、設立から約30年。うーん、……うーん?
そこでググってみたところ、こんな記事がヒットしました。
老舗――「何歳」から名乗れますか? – ことばマガジン:朝日新聞デジタル
知りたいことが網羅されていて、さらに「わかる~」と共感できる内容だったので、ものすごくスッキリしました。
こちらの解説によると、老舗の定義は以下の通り。
・帝国データバンク → 創業30年以上
(創業100年以上は「長寿企業」)
・東京商工リサーチ → 創業30年以上
・日本老舗サイト → 創業100年以上、または3代以上
・東都のれん会 → 3代・創業100年以上
・エノキアン協会 → 創業200年以上
帝国データバンクや東京商工リサーチでは、創業30年以上を「老舗」と定義。つまり、先ほどの鞄メーカーはこの基準をクリアしているわけですね。
で、この記事で解説されているとおり、「創業○○年以上が老舗」という明確な基準はないわけですが、
- 代々続く歴史がある
- 売上を維持している
- 業界内で信用を得ている
このあたりが老舗の条件だとすると、設立30年の鞄メーカーというのは、やっぱりちょっと物足りないですよね、伝統という部分で。例えばエルメスの始まりは1837年だから創業180年を超えています。それに比べて30年というのは……。いやまあ創業から設立までの期間がけっこう長いのかもしれないし、エルメスと比べちゃあれなんですけど。
というかアパレル・ファッション系企業に老舗という言葉は似合わない気もしますね。着物や和テイストのものなら効果的かな。
このあたりが「うーん」の内訳だったのかなと思いつつ、「企業の寿命30年」説をクリアしてるぜ!という部分に注目すれば、すごいよねという素直な感想が浮かぶのでした。
で、私は今30代中盤ですので、創業30年以上を老舗と呼ぶこともあると知ったとき、「つまり私は老舗だな、老舗人間だぜ、わっはっは」と思いました。このおめでたい感じ、大事にしていきたいですね。
言うまでもないですが、企業と人間は違いすぎるし、「老舗」のような言葉は自称するものではありません。自分で言っちゃったらダサい。
でも、いいのです。心の中で勝手に言っている分には。それでちょっとでもイエーイな気分、肯定的な気持ちが生まれるのならばOK(生まれなかったとしても、心に明かりを灯そうという心がけは悪くない)。
まだ10代20代なら「ベンチャー」とか、個人につけるなら「新進気鋭の」「フレッシュな」とか言ってもいいし、何でも好きに表現すればいいのです。
だって、巷にあるれるコピーを見ると「言ったもん勝ちだな」って感じですよね。「何でもありかよ」と思わず笑ってしまうものも多数。
そう、大げさなコピーをつける行為は、なかなか愉快なものなのです。中身が大したことないものであればあるほど。カタカナ語を使うとより効果的(な気がする)。
というわけで、
- ものは言いよう
- いい感じに飾りつけて、演出していこう
- 少しでも楽しくなるように、盛り立てていこう
- 自分がいい感じに思える、これが大事
みたいなことを思いました。
一言で言うと「盛って映えろ」ということでしょうか。
以前、「過剰演出がもたらす悲しみにのまれぬよう」という話を書きましたが、喜びは過剰演出してもよさそうです。悲しみ成分が多めの人は、多分まだまだ足りないくらいだと思うので。
あまり難しく考えず、全部雰囲気でふわっとやってみるのもたまにはいいかもしれません。肩に力が入りがちな人は特に。
更新ありがとうございます。
自分がいま、存在しているのは、原始時代から子孫を受けついてきているから、
それを考えてみると、みんなすごいこと。
読んでいてちょっと楽しくなりました。
私も老舗の立派な人間です。
ありがとうございます。