「自分に合った仕事って一体なんだろう?」
そんな悩みを持ったことはありませんか?
適職を見つけるのってなかなか難しいですよね。自分のことって意外とわからなかったりして。
そんなとき、ヒントになりそうなキャリア理論があります。
産業カウンセラーとして働いていた心理学者ホランドによる「RIASEC(リアセック)」という分類です。
RIASECは、キャリアアドバイザーも用いる定番の分類らしく、就職サービスの適職診断で使ったことがある人もいるかもしれません。
『暮らしの中の社会心理学』(pp.139-141) にわかりやすい解説がありましたので、簡単にまとめます。
※「働かなくちゃ!」と焦っている人は、あんまり必死になりすぎず、肩の力を抜いていきましょう。仕事の話を聞いて「うわあぁーーー」と取り乱しそうな人は、調子が落ち着いてからどうぞ。
【焦りまくりの人へ】
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適職探しのヒント
6つの分類「RIASEC(リアセック)」
アメリカの心理学者ホランドは、「同じ仕事に就いている人は、似たような性格の特徴がある」ということに気づきました。
そして、職業を次の6つに分類しました。
- 現実的(Realistic)
- 研究的(Investigative)
- 芸術的(Artistic)
- 社会的(Social)
- 企業的(Enterprising)
- 慣習的(Conventional)
料理人、研究者、デザイナー、保育士、TVディレクター、会計士などなどなど、いろいろな職業がありますが、相手の仕事を聞いて「っぽいね~!」と言ったこと・言われたこと、ありませんか?
簡単に言うと、そういうことです。その「○○っぽいね~!」の詳細を研究によって示したわけですね。
6つのパーソナリティタイプと、それに適した仕事は以下の通りです。
R 現実 |
技術(ものを相手に作業する) 機械や物、乗り物、動植物、操作する、作る、修理する |
---|---|
大工、料理人、運転手など | |
I 研究 |
サイエンス(もの、アイデア) 概念、数式、調べる、考える、分析する、予測する |
大学教員、研究者、天気予報士など | |
A 芸術 |
芸術(アイデア、人) 音楽、文芸、デザイン、表現する、創造する、演奏する |
デザイナー、俳優、文筆家など | |
S 社会 |
ソーシャル・サービス(人) 人を相手にサービスする、教える、手伝う、教育する |
学校の先生、カウンセラー、弁護士など | |
E 企業 |
管理的ビジネス(人、データ) 交渉する、管理監督する、事業計画、リーダーシップ |
経営管理をする会社社長、TVディレクター、不動産業者など | |
C 慣習 |
ルーティン的ビジネス(データ、もの) 規則に従い正確に作業する、ルールを守る、堅実 |
会計士、一般事務、警備など |
Rの領域が得意な人はRの職業というように、人と仕事環境の組み合わせがうまくいくと、いい感じの職業生活が送れるだろう、というわけです。
RIASECの六角形から見る特徴
RIASECの6つを視覚的に示す六角形があります。
隣り合った領域は似たような特徴を持っています。
<対人関係を多く含む領域>
E:交渉する、リーダーシップを発揮する
S:教える、サービスする、助ける
<ものを相手にきっちり仕事をする>
R:機械や物
C:書類など
<発想やひらめきを要する>
I:研究
A:芸術
反対に、対角線上は共通点が少ない領域です。
創造性、個人のセンスが必要な「A」
定まった法則に従いきっちり作業する「C」
人とのかかわりを多く含む「S」
物や動植物を相手にする「R」
データを集めて予測分析する個人プレイの「I」
交渉したり管理監督するチームプレイの「E」
3つの組み合わせで特徴を表す
ホランドは、6つの領域から興味の強い3つを選んで人の職業の特徴を表しました。
アルファベットは興味の強い順に組み合わせます。
例として、「I」と「S」に関する職業が挙げられていました。(p.140)
研究職は一般に「I」領域ですが、研究テーマによってアルファベットが異なります。
政治学者:SIA(人や社会について探求する、調べる、ひらめき)
統計学者:IRA(調べる、データを扱う、表現する)
扱う商品やサービスによって、アルファベットが異なります。
美容師:SAC(サービス、デザインする、コツコツと作業する)
スポーツクラブの指導員:SRE(サービス、身体を動かす、指導をする)
あなたにぴったりの仕事は?
以上、RIASECについて簡単にまとめました。
あなたの適職は何だと思いますか?
- なりたい職業
- 今やっている仕事
- これまでにやってきた仕事
これらはRIASECの分類と合っているでしょうか?
ちなみに私は「ARI」です。いま自分で適当に選びましたが、就職支援サービスなどのよくある適職診断でも大体こんな感じの結果でした。
この傾向を仕事選びに活かせたらいいですね、とまとめたいところなのですが、いくら自分の特徴がわかっても現実的には無意味だよーと言いたくなることってありませんか? 私はあります。
なので、そういうときは、自分が当てはまらない領域に注目しましょう。
そうです、自分が苦手なことを知るべし! です。
先ほど私は「ARI」だと言いましたが、これは消去法で選びました。
まず、交渉したりリーダーシップが求められるE(企業的)はナシです。次に、規則に従い正確な作業が求められるC(慣習的)も下手です。サービスや教育など人とかかわるS(社会的)はエネルギー消費が激しいので、できれば避けたい。少なくともゴリゴリのやつは無理。
で、残った3つを見てみると、確かに自分の傾向にまあ合致している感じだなと。
苦手を知れば答えが見つかる?!
自分に合った仕事や、やりたい仕事を見つけられたら、それは幸運。
しかし、現実的には難しい。
やりたい仕事が見つからないどころか、自分に適性がないことを職業にしてしまうと、それは悲劇の始まりです。
どんなに努力しても苦手なものは苦手。誰にだって得手不得手はあるので、それは悪いことではありません。
でも、仕事をする上では「苦手だから、できなくても仕方ないよね」じゃいけません。頑張って成果を出さなくちゃ……!
それで、一生懸命頑張るんだけど、うまくできない。
頑張っても頑張ってもできなくて苦しい。
誰の役にも立てない、みんなの足を引っ張っているだけだと思ったら情けなくて悔しくて悲しい。
自分には何もできることがないんじゃないかと思えて自信喪失。
……みたいな状況に陥っている人は少なくないんじゃないかなぁという気がします。
そんな悲劇を回避するためにも、RIASECは役立ちそうです。
きれいごとを言うわけでなく、誰にだって一つくらいはうまくできることがあるはずです。
そりゃ人と比べたら「大したことない」「こんなのうまいに入らない」と言いたくなるかもしれませんが、自分の中で「まあまあかな」「まだこれはまし」という分野はありますよね。
どんな人も、すべての能力が画一的ということはないはずです。
「いやいや、全部ダメだよ!」と思ったときは、RIASECの中でどれが一番ダメダメか考えてみましょう。
客観的な答えを得るためには、人に聞いてみるのがいいでしょうね。
自分が苦手とすることを知るのは大事。
消去法で、「適職」や「やりたいこと」が見つかることもあるんじゃないかなと思います。
消去法で考えたら全部消えちゃったんですけど?!というときの対策は、また別の機会に考えます。
<参考書籍>
安藤香織、杉浦淳吉 編著 (2012)『暮らしの中の社会心理学』ナカニシヤ出版 pp.139-141
【追記】
私が受けた適職診断は、学校のキャリアプログラムの一環でした。確かリクルートの診断だったような……記憶がちょっと曖昧です。あとは、RIASECと似たような適性診断を組み合わせてアレンジしたものを2、3。学校の授業でもワークシートを使って学びました。
<参考ページ>
・厚生労働省 – 大学生のための「キャリア教育プログラム集」ワークシート等(PDFファイル)
・まるごと研究所 RIASEC診断 | お仕事まるごと研究所 – ジョブカフェ愛work
・就職活動をバックアップする自己分析・適職発見プログラムR-CAP
働いても鬱、働かなくても鬱のような現状で行き着いたのがこちらのサイトでした。
家系的に鬱が入っているのは分かっていても実際ぼんやりとただ辛いと考えてると苦しいです。
当サイトをたくさん読みあさって気持ちが幾分晴れました。一方的な感想ですみません。ありがとうございます。
この適職診断はどこでできましたか?