矛盾だらけのどんでん返し物語に困惑

どんでん返し映画を観て困惑することがあります。

例えば、ミステリー要素のあるお話で、葛藤する主人公に感情移入して観ていたら、最後に「実は私が犯人でした」と判明するパターン。

私はアンタの芝居(葛藤するフリ)をずっと見せられてたんかい! とズッコケちゃいますよね。

わからないわからないと頭を抱え、一生懸命取り組んでいたのも芝居だったわけ? 何十年もそれをやってきたってどういうこと? 周りに誰もいないのに、自分は何も知らないみたいな顔して困惑していたのは何なの?

……などなど、いったん気になってしまうともうダメ。「犯人は普通そういう反応しないでしょ」というツッコミ必至で内容が入ってこなくなります。

「それも全部演技だったんです」という説明で片づくんだとしても、犯人の葛藤に感情移入しちゃってた場合、その気持ちまで否定されることになっちゃうというか、「私の感情返してよ!」と言いたくなる。もしロマンス詐欺に遭ったら、こんな気持ちになるんでしょうか。

というか、白々しい演技をバラされるのって恥ずかしいですよね。たとえどんなに上手に演じていたとしても。悪いことした奴にはそれ相応の辱めを受けてもらうぞってことなのでしょうか。

あと犯罪もので、「ハニートラップ仕掛けて弱みを握ってやるわ」と色仕掛けした相手が「実はグルでした」って最後にわかるパターンとか。トラップ仕掛けた方も仕掛けられた方も仲間でしたって、え??? その巧妙な作戦は何のためにやってんの? 騙す相手その場にいないじゃんっていうね。仲間内で騙し合いごっこしてるの? 何なの? 別の仲間は一生懸命戦っていますよ? みたいな。

小説の場合も同じく。自分なりに想像してあれこれ思い描いているからこそ、矛盾を解消しないまま派手にひっくり返されたときのガッカリ感はより大きくなります。「いや、じゃあ、あの序盤の細やかな心理描写は何だったの?」とハテナがいっぱいで、納得いかない。消化不良は気持ちわるいです。

 

で、なぜこんなことを思ったかというと、最近読んだ複数の短編小説(どんでん返し系)で「おかしいぞ?!」と引っかかることがなかったから。多少強引でも、大抵すんなり受け入れられました。

「ムムッ?!」「あれは何だったの?!」と思う暇もなく終わってしまうからでしょうか。それとも作者の技量?

何を見せたいのかという部分がしっかり決まっていないと、おかしなことになってしまうのかもしれませんね。観る人・読む人を驚かせたいなら、ストーリーの組み立て方に集中した方がいいし、意外な結末がオマケなら、どんでん返しは変に大掛かりにしない方がいいのかも?

とまあ、何だかんだ言いながらも、多少雑でもどんでん返しは気持ちいい。完全に騙されて「やられた!」と思うのは快感です。

だからこそ、疑問を感じさせずにやり通してほしいァと希望しているのですけれど。派手にやろうとすると難しいんですかね。

いずれにせよ、無理くり辻褄合わせした感じのまとめ方は好かんという感想です。

でも、まとめるのって難しいですものね……。大風呂敷を広げちゃったらなおさらね……。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です