すべての人に好かれることはない。時に嫌われることもある。
いろいろな立場の人がいることを思えば、当然のことです。
それでも、嫌われるのを恐れて何も言えなくなることがあります。
むやみに人を刺激したくないし、傷つけたくない。そんな思いから発する言葉は、中身がなくて薄っぺら。そうかと思えば、思いつきで適当な受け答えをして、後から「間違えたかも」とウジウジ悩む。
あの言葉は不適切だったんじゃないか。相手を不快にさせたんじゃないか。怒っていたらどうしよう。
「すべての人を満足させる言葉はない」とわかっていてもモヤモヤモヤモヤ。
ああ、私は一体どうすればいいの?
答え。モヤモヤが止まらないときは、気分を数値化するべし。認知行動療法です。モヤモヤを数字に置き換えることで、言葉にできない不快感をつかみやすくなります。
では、どうやって感情を数値化すればいいのでしょうか。
具体例として、『セトウツミ』というマンガが参考になります。『セトウツミ』は、二人の男子高校生・瀬戸と内海がひたすらダベるマンガ。その中で、怒りをどう処理するか描かれています。タイトルは「ムカーとスッキリ」。シンプルながらも学ぶところが多くあります。
内容はこんな感じ。
ムカつく先輩の話を瀬戸が内海にしています。すると内海、いきなり瀬戸を殴ります。そして尋ねます。
「そのムカつきを数値化したらどれくらい?」
「じゃあムカつく先輩の件は?」
「愚痴ることでどれくらいスッキリする?」
問いに対する瀬戸の答えは以下の通りです。
内海にいきなり殴られた:6ムカー
ムカつく先輩の件:140ムカー
愚痴る:20スッキリ
内海は、同じ愚痴をすでに7回以上聞かされています。すなわち瀬戸は、この話をするたびにムカつきを追体験し、大量のダメージをくらっているのです。いくら愚痴って発散させても140-20=120。ムカーの数値は高いまま。さらに愚痴れば+120。ムカーは積み重なるばかりです(現時点で合計840ムカーくらっている計算に)。
こんな具合に、気分を数値化してみると、いちおうは納得。気持ちも落ち着きます。(続きはマンガで。「ほなどうしたらええねん」の答えもあります。)
が、それでもやっぱり燻ります。いったん答えを出したはずなのに、時間が経つと再びモヤモヤ。
仕方がないので、とりあえずトイレ掃除を始めました。
ゴシゴシゴシゴシ。
気づいたら全然違うことを考えていました。ほんの数分前までずっと「ああ、これでいいのか、やっぱり間違っていたかも」と悶々としていたのに。
その程度のモヤモヤだったとも言えます。本当に深刻な事態なら、話題が置き換わることはありません。この時点で「はい、OKです」という話。どうしてもダメなときはまた別の対処法を探ろうということです。
他人の気持ちについて、あれこれ考えるのはやめましょう。どれだけ考えたってわからないのだから。どうしても知りたいなら本人に直接聞きましょう。
って、それで済むなら苦労しないのよと言いたくなる気持ちを抑えて、トイレ洗剤のミントの香りをかぎました。
・気分を数値に置き換える
・トイレ掃除をする
・ミントの香りをかぐ