癒されました。読んでいるだけで心がほんわか。オネエ言葉に思わず笑みがこぼれます。
“尾木ママ”こと、教育評論家・尾木直樹さんの本です。
ブルーとイエローのドットがあしらわれた表紙、帯にはブランコに乗って微笑む尾木ママの姿と「ま、いっか♡」の言葉。これだけでもう和みます。
本文にもハートがたくさん。テレビで見かける尾木ママがそのまま語りかけてくれるような文体です。
明石家さんまさんの話や番組出演のエピソードも盛り込まれていて、気が付いたらパーッと読み終えていました。
尾木ママの「凹まない」生き方論、特に印象に残ったパートをご紹介したいと思います。
靴を履くまで「ゆっくり待つ」
「子どものやることをゆっくり待ってあげましょう」という子育てママへのメッセージ。
病気をして“できない”が増えた私を「子ども」、それが許せない私を「お母さん」に置きかえて読んでみると、尾木ママの言葉がストンと入ってきます。
お出掛けのときに、子どもが玄関でなかなか靴を履かないこと、よくあるわね。こんなとき、
「もうっ……なにやってるの?! 早くしなさい!」
と言うのは簡単。ここは言葉を飲み込んで、子どもの目線に立ってみましょ。
「あれ? どうしたのかな?」
ひょっとしたら、教えたのとは違う“簡単に結べるヒモの結び方”を一生懸命研究しているかもしれない。アリさんを踏みそうになっていたから逃がそうとしていたかもしれない。
そこにはちゃんと理由があって、その“こだわり”にこそ、子どもをグーンと伸ばす秘密が詰まっていると尾木ママは言います。
例えば、うつ病になってお風呂に入れなくなったときや服を着替えられなくなったとき。「なんでこんなこともできないの?!」と自分を責めるのではなくて、「あれ? どうしたのかな?」と語りかけてあげる。そうすることで、今まで気付かなかった自分の気持ちが見えてくるかもしれません。
「身体が重くて、頑張っても動かないの」
「私には清潔を保つ価値すらないから……」
そんな本音に優しくできれば、自己否定の悪循環から抜け出せそうです。さらに、回復のために必要な対策を立てることもできます。
ニコニコ笑顔で「負けて勝ち取る」
尾木ママのママの教え、それが「負けて勝ち取れ」だそうです。
“負けて勝ち取れ”とは“損して得とれ”。
その場では負けたように見えるんだけれど、そこで培われた信頼感とか誠実さとか、いろんなものが相手を動かして、後になって違う場面で生きてくる――ということ。ず~っと長いスパンで、ゆるやかにものごとを見ているんですね。
今やあらゆるメディアで大活躍の尾木ママですが、教師を辞めて教育評論家を名乗った翌年の年収は86万円だったのだとか。この「負け」がなければ今の尾木ママはいないってことですよね。
私が病気になったとき、自分は負け犬だと感じました。そういう捉え方自体にも問題はあるんですけど、負けたからこそ今の私がいるわけで。病気にならずにそのまま突っ走っていたら、ただの痛い人になっていたかもしれません。あぁぁ、考えるだけで恐ろしい。
うつ病になって良かったなんて全然思いませんが、「怪我の功名」で学ばせてもらうことはたくさんありました。
ストレスは我慢しないで「セロテープを貼る」
何にセロテープを貼るかと言うと、ストレスでパンパンに膨らんだ風船に、です。
風船が割れてしまう前に空気を抜く必要があるんだけど、いきなり針を刺したら破裂しちゃうわよね。その空気を上手に抜く工夫が「セロテープを貼ること」。ちょっとした工夫でストレスも軽くできるのよ~というわけです。
私はすでに風船を割ってしまった人間なので、その失敗を繰り返さないように学ぶべきことがたくさんあります。でも、そうやって「やらなきゃー!」と自分を追い込むとまた破裂してしまいますので、ゆるみ・たるみを持たせることが最大の課題。
尾木ママは、「なにかにぶつかりそうになったとき、大切なのはすぐその場で結論を出さないこと」だと言います。
頑張るばかりが能ではなくて、引くことも大事。切り替えが効果的な場合も多いんですね。
さらに、風船を割らないためには、自分の調子をコントロールすることも必要です。
「二度、約束を忘れたときは疲れてる証拠」
ボク自身はすごく元気で全然疲れていないと思っているけれど、“普段はしないようなミスが重なる”というのは体からのSOS信号なの。書きかけの原稿もほっぽりだして、すぐにベッドに入ることにしています。
これが尾木ママのルール。こうやって小さなサインを見逃さないことが、常に一定のペースで走り続けられる秘密ですって。
ホント自分をちょこちょこ労わってあげるのって大事よねぇ~♡
病気になったんなら、横になって休むのは当然のこと。というか、絶対必要!
元気になったら、今度はバルーンアートを楽しみたいなぁ~。
最後に
尾木ママって、ほんと不思議。
ボクの“プチときめき”はブローチなのよ。うふ♡
オネエでもないし、娘を持つ父親であるのに、女性的。本人もオネエで勝負しているわけじゃないと言っている。でも、完全に“ママ”。尾木ママ以外の何者でもない。
そのキャラを見い出したさんまさんがスゴイって話でもあるんですけど、彼(彼女?)の魅力は性別を乗り越えてしまうほど大きなもの。これが「愛」ってヤツなのかなとも感じます。
ちょうど尾木ママの教育論に関する本も読んだところだったのですが、正直、学術的な話はまだよくわかりません。でも、私が尾木ママの人間性に惹かれているということは紛れもない事実で、私も彼のように優しく穏やかで包容力のある人間になりたいと思うのでした。
ありがとう、尾木ママ。
「“ありがとう”と言える人はチェ・ホンマンより強い」ということを教えてくれたママ。なぜチェ・ホンマンなのかはわかないけれど、
「ま、いっか♡」