コブクロの「時の足音」から辿る、私のうつ回復の軌跡

洋風なアンティークな時計

最近、昔よく聴いていたCDやMDをBGMとして流しています。先日はコブクロのアルバム「CALLING」。で、作業に没頭して自分の世界に入っていたんですけど、いきなりグググッと胸に響いたメロディーがありました。

それが「時の足音」。

サビの歌詞がバーンと耳に入ってきて、いきなりボリューム大きくなったのかと思うくらい言葉が胸に刺さりました。

そうしたら、いろいろな記憶がホワワワワ~~~っと溢れてきて……。

例えば、うつ病と診断される前の風景。

この曲を「ホントいい曲だよねぇ~」と絶賛している職場の人がいて、よく話していたんです。でも、頭ではいい曲だとわかるのに、心の底からいい曲だと思えませんでした。コブクロは前からよく聴いているし、好感を持っていたはずなのに。自分でも「何でだろう?」と不思議で、そんな自分を寂しいと思いつつも、実際はものすごく冷めていました。

今思えば、そのときにはもう鬱っぽい症状が出始めていて、無感情になりつつあったんだとわかります。

つらいときはつらいし、悲しいときは悲しい

音楽に限らず、すべての物事はその時々で解釈が変わりますよね。

今、私の胸に迫ってきたコブクロの「時の足音」。

療養中にもこのアルバムは聴いたはずですが、ほとんど記憶に残っていません。ただ、この曲で語られる“出会った二人の物語”をイメージして、孤独や惨めさを強く感じていました。

短い針が君なら 長い針が僕で
同じ時間を刻みながら 何度もすれ違い また出会い

独りぼっちの私は「すれ違える相手がいるんだからいいよね」とひがんでいました。自分はぶっ壊れた時計の針。取り返しがつかない。もう誰にも必要とされない。捨てられるだけ。何の意味もない。そんなふうに卑屈になっていた私。

悲観的になってしまうのは抑うつ症状の一つだと言われますが、見事にその通りです。とにかく悲しかった。何を見ても、何を聞いても、ただ悲しいだけ。

こういう状況の中で日々を過ごすのは、本当につらいことです。

苦しみの真っただ中で闘うあなたに伝えたいこと

うつ症状がひどかったときと、笑えるようになった今。

いろいろあったなぁ~、私も変わったなぁ~と思います。でも、変わらないものもたくさんあります。

うつの波に飲み込まれてもがいている自分の姿を思い浮かべて問いかけます。

「過去の自分に、今の私はなんて声をかける?」

もしタイムマシーンで過去の自分に会いに行けたとしても、きっと励ましの言葉はかけられないでしょう。言葉で伝えられることは限られているから。

ただ、伝わればいいなと思うことはいつも心にあります。

「時の足音」で、コブクロのお二人も伝えているメッセージ。

「影で人は強くなれる」
「強さが優しさに変わる」

この言葉に私は救われます。

真っ暗闇の中で絶望するしかなくて、そのときは希望なんてこれっぽっちもないのだけれど、その経験がその人の心を強くする。痛みを知ったからこそ、人に優しくできる。

苦しいときには、こんなふうに言われても何の慰めにもならないかもしれません。でも、一生苦しみが続くわけじゃない。どんなに長くかかっても、必ず変化は訪れます。

今だから言えることなんですけどね。

そういうことを小渕さんも言っています。歌詞カードのコメントからちょっと引用しますね。

音楽を始めた頃、見えていたのは明日の事くらい。
明日も見えない、、そんな日だって沢山ありました。
そんな僕等が、10年間、変わらずこうして二人で歌い続けているなんて
あの日の僕等に言っても、きっと信じてくれないでしょう。
でもこうして、今も歌っている。(中略)
(小渕健太郎)

これ、まさに、って感じです。コブクロのお二人の姿を思い浮かべながら、私の頭の中でこんなふうに変換されました。

療養を始めた頃、見えていたのは絶望の闇くらい。
何も見えない、、そんな日だって沢山ありました。
そんな私が、5年間、変わらずこうして生き続けているなんて
あの日の私に言っても、きっと信じてくれないでしょう。
でもこうして、今も生きている。
(ナミ)

こんなことを言っても、以前のうつ真っ盛りの私には何も届かない。「うるせー! バカヤロー!」と突っぱねられるだけ。

でも、だからこそ、誰かが苦しんでいたら、その痛みに気づきたい。「つらいね」「苦しいね」って寄り添ってあげられる人になりたい。できることは他に何もないけれど、同じ時間を共有できたらいいなと思うのです。

もし、深い苦しみを抱えてこのブログを見てくださっている方がいるなら、画面を通して、何か、どんな小さなことでもいいから共有できたら嬉しいです。

短い針が止まれば 長い針も止まる
同じ痛みを分け合える事 いつしか喜びに変わるから

おもろいコブクロも必見!「CALLING」

では、最後に「時の足音」収録のコブクロ7thアルバム「CALLING」をご紹介してお別れといたしましょう。

先ほど書いた「強さが優しさに変わる」のところ、歌詞だけじゃなくてメロディーがまたいいんですよね。語りかけるように始まって、慰めてくれるような、励ましてくれるような、背中を押してくれるような……。とにかく優しい。私の中で一番盛り上がるパートです。歌に乗せてこの言葉がぐわーーーっと胸に迫ってきて、もう何回聞いても胸が詰まります。

あと、DVDの特典映像?で、レコーディングの様子も収録されているんですけど、それがすっごい楽しそうなんですよね。小道具作って、コントやってるみたいなんですよ。なんか笑えます。

そんな楽しさが溢れているからでしょうか、コブクロの曲は聴けば聴くほど深みが増します。

ドロドロとした心を浄化してくれる優しい音楽。
落ち込んだとき、そっと寄り添ってくれる音楽。
一歩を踏み出す勇気を与えてくれる音楽。

一人 一つ 一瞬 一秒 一度きり

ただ、今を。

4 COMMENTS

えみ

うつの症状だともわからずに、ただただ苦しく過ごしていた冬の頃を思い出しました。
その頃は、春には死んでいるのかもしれない…本当にそう思っていました。
結局、目指していた研究者の道を諦めて、大学院をやめて、うつ病だと診断されて4年たちますが、まだ生きてるんだなぁと。
まだまだ苦しい途中ですが、またいつか今を振り返って、生きてきたんだなと思えたら、救われるのかもしれないですね。

音楽は素敵ですよね。そんな才能はありませんが、素晴らしい音楽に出会えるだけで宝物ですよね。

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ナミ

えみさん、コメントありがとうございます。

そうでしたか、つらい日々を耐え忍んでこられたんですね。そして、今も……。

志半ばで諦めざるを得ない。これほど悔しいことはありません。今まで積み重ねてきたものを手放さなければならなくなったこと、えみさんのお気持ちを思うと胸が痛みます。

今こうして、えみさんとお話できて嬉しいです。この出会いも宝物ですよね。ありがとうございます。

えみさんの苦しみが少しでも軽くなりますように。

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Sonrisa

こんにちは。7月に診断を受けて休職し、まさに今、暗闇と1人闘っています。2週間前に偶然このブログに出会いました。以来、過去の記事も含めて毎日読んでいます。
一時期、自殺未遂をした時に比べたらまだマシですが、辛くて泣き暮らす日々に疲れ果て、死にたいと毎日考えます。攻撃的な人間からの1年以上に渡る脅迫で発病し、人生をかけて結婚するつもりだった人に裏切られて悪化しました。医者には散歩しなさい、考えを切り替えなさいと言われますが外出も出来ず、波が理由もなくボロボロ流れるだけです。
すみません。自分の事を書いてしまいました。このブログがあって良かったです。助けられています。ありがとうございます。

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ナミ

Sonrisaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ブログを毎日読んでくださっているだなんて感激です。

これまで、とても大変な思いをされてきたんですね……。Sonrisaさんがどんな苦悩を抱えて耐えてこられたのかと思うと、何とも言葉になりません。死にたい気持ちが頭から離れないのもつらいですよね。

暗闇で一人闘うSonrisaさんのコメントに私の方こそ励まされます。苦しい中でこんなに頑張っている。それだけで十分すぎるほどすごいと私は思います。

こうしてSonrisaさんのお声を聞くことができて、とても嬉しいです。

Sonrisaさんの心と身体が少しでもラクになることを祈っています。

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