桜井章一さんと勝間和代さんの対談本『「勝ち方」の流儀』を読みました。
桜井章一会長は、20年間無敗の雀士。組織や個人の代理として麻雀を打つ「代打ち」として活躍した伝説の人、だそうです。「雀鬼会」という組織を作り、自身の打ち方や生き方を指導。というわけで敬称は「会長」でいきます。
そして、もうお一方は、経済評論家の勝間和代さん。勝間さんがどんな人か説明するのって難しいですね。私の中では「デキる女」「自立した女」というイメージが強いです。あとブログに登場する猫が可愛いです。
勝間さんは2015年に麻雀のプロテストに合格したプロ雀士でもあります。そんな麻雀つながりで実現した異業種対談です。
私は麻雀のルールをほとんど知りませんが(ドンジャラは好き)、知識がなくても学べるところが多い本です。
代打ちとか裏プロとか、ちょっとアンダーグラウンドな雰囲気にも好奇心をくすぐられます。裏プロは「表には出てこない勝負師」って感じでいいのかな?
伝説の雀鬼・桜井章一がスゴイ!
では、『「勝ち方」の流儀』の感想をつらつら書いていきます。
まず一言、おもしろかったです!
桜井会長のお話は、一般的な価値観や考え方とはちょっと違います。
でも、すごく納得感がある。
直感力がすごくて、言葉では説明できないような感覚について語っているからか、もはやそれが超能力のように感じられるほど。でも、胡散臭さはほとんどなくて、不思議と「なるほど」と思えるお話。
特に印象的だったのは、人間が本来持っている身体感覚の話。
身体感覚について詳しく語るというよりは、何をするにも身体感覚が大事だよねというスタンスです。だから、本書のあちこちに「身体感覚」という言葉が登場します。
まさに今の私にはこれが足りてないと思っていたから、「そう、そうなんです!」とちょっと興奮しました。
運はつかもうと思ってつかめるものじゃない
運についての話も興味深かったです。
桜井会長によると、運はつかもうと思ってもつかめないものなんだそうです。
「空中をフワフワ漂っているようなイメージかな。(……)あっちに行ったり、こっちに行ったりしている」「空気とか風、太陽みたいなイメージかもしれない」と。
なんか素敵ですよね。
桜井会長は運をコントロールできるものだとも言っています。
それは、運をつかみにいくのではなく、そっと触れにいくようなイメージなのだそうです。
もしかすると幸せもそういう類のものなのかもしれないなーと思いました。
勝間さんが「内に内に向いている」?
勝間さんの説明力も冴え渡っていました。豊富な知識を駆使して、桜井会長の感覚を分析&言語化。例えを使った説明もあり、わかりやすかったです。
桜井会長に比べると、勝間さんの考えの方が一般的というか、私にとっては慣れ親しんだ思考回路なので、「うん、そうだね」と思いながら読めました。直感ではなく、頭であれこれ考えるところもそうです。
あとがきで桜井会長は、勝間さんが「内に内に向いている」ように見えた、と書いています。
これを読んだとき、意外に感じつつも、ちょっと納得しました。
本文を読み進めながら、何となく勝間さんに共感するような感覚があったんですよね。でも、自分と勝間さんのようなスゴイ人を並べて語れることなんてないわーと思いました。だけど表面的な生き方ではなく、エネルギーの流れる方向が似ているのであれば「わかるー」と思うのも自然だなと。
この本は、勝間さんの対照的な受け答えがあるからこそ、桜井会長の話がより鮮やかに映えます。
「勝ち組」「負け組」なんてくだらない
この本の最初のテーマは、勝ち負けについて。人と比較してしまうことについて、いろいろな角度から語られていました。
「勝ち組」「負け組」について問われたときの桜井会長の言葉。
くだらないことだと心から思うよ。
こういう言葉を聞くと、やっぱりスッとしますよね。いくら頭ではわかっていても、勝ち負けにこだわる価値観が刷り込まれているから。
いわゆる「負け組」だと考えている私は、いつも負い目や後ろめたさを感じています。
でもそれって、もし自分が「勝ち組」だったら、優越感に浸っていたかもしれないってことですよね。それはすごい嫌。想像するだけでウンザリします。
にもかかわらず、「自分は負け犬」的な思考をやめられないんですよね、もう染みついちゃって。
桜井会長に言わせれば、比較論は「あるかぎられた社会の、かぎられた人たちの間で流行している病気みたいなもの」。
確かに、できないことについてここまで負い目に感じてしまっている現状を思えば、まさに病気なのかもと思えます。というか、実際私は病気になっちゃってるわけですしね。
桜井会長はこう言っています。
「間違った競争」から自由になるためには、コンプレックスの量を少しずつでも減らしていくしかない。そのためには「努力して実力を上げる」というよりは自分を買いかぶるのをやめるしかないんだ。身の丈以上のことを求めるのはやめて、つねに等身大の自分でいられるように心を変えていけばいい。(p.33)
実践するのはなかなか難しいのですが、可能なかぎり、無理のない在り方を心がけていきたいなぁと思います。
最後に
この本を読だら、自然と前向きにやっていこうと思えました。とてもよい形でエネルギーが流れ出すような感覚です。
ハッと気づかされることも多くて、勉強になりました。
「こうしなきゃ」と頭で考えて無理が生じてしまっている人には、参考になる部分があると思います。
とりあえず、今は高原にでも行きたい気分です。