ストレス軽減!人間関係を改善するレッスン

微妙な距離感

家族や友達のふるまいに腹が立ったり悲しくなったりすることはありませんか?

今日は、人間関係のストレスを軽くするヒントをご紹介します。

実践!書き出した悩みを処理しようの巻」で挙げた悩みを例に、認知療法の手法を参考にしながら詳しく整理していきます。

人間関係の悩み

問題を整理する5ステップ

まず、悩みについて、相手のことや話の内容など、もう少し詳しく書き出します。

人間関係の悩みリスト

悩みを整理するためのステップは次の5つ。

STEP1 相手をはっきりさせる
STEP2 現在・過去にわける
STEP3 現在の問題が改善可能かチェックする
STEP4 過去の人・体験のよい面と悪い面を書き出す
STEP5 将来どのような関係を築きたいか書き出す

順番に見ていきましょう。

STEP1 相手をはっきりさせる

その悩みが誰との問題なのか、「Who」の部分をはっきりさせます。

STEP1 相手をはっきりさせる

7つ目の「世の中」「人間」のように、具体的な関係性を絞り込めないものは除きます。

STEP2 現在・過去にわける

今も継続している悩みは「現在」、過去の出来事がもとになっている悩みを「過去」に分けます。

STEP2 「現在」「過去」にわける

現在」は黄色、「過去」は青色の下線を引きました。

STEP3 現在の問題が改善可能かチェックする

STEP2で分類した「現在」の悩みをレベル分けします。

【高】改善されつつある
【中】改善の可能性がある
【低】改善の可能性がない

改善可能レベルをチェック

次に、レベルごとの改善策を探します。

【高】改善されつつある
今の状態を維持しながら、よりよい解決策を探します。

【高】改善されつつある

可能であれば、相手と協力して問題解決の糸口を探していきましょう。

【中】改善の可能性がある
お互いの意見の共通点・相違点と妥協案を書き出します。

【中】改善の可能性がある①

【中】改善の可能性がある②

【中】改善の可能性がある③

【低】改善の可能性がない
お互いの意見の共通点・相違点を書き出し、それぞれの将来につながる形で別れられるようにします。

【低】改善の可能性がない①

【低】改善の可能性がない②

改善の可能性がないと感じられる場合でも、こちらが働きかけることで変化が訪れることもあります。あきらめる前に一度アクションを起こしてみましょう。

相手のよいところ・よくないところを書き出してみたり、他の人の意見を聞いてみたりすると、新たな視点が見つかることもあります。バランスのよい答えを探すためにも、ぜひ参考にしてみましょう。

STEP4 過去の人・体験のよい面と悪い面を書き出す

次に、過去のつらい出来事が原因となっている悩みを冷静に見つめるための作業です。

過去の悩み

別れた人のよかったところ・よくなかったところ、その人と一緒に体験してよかったこと・よくなかったことを書き出します。

STEP4 「過去」の人・体験のよい面と悪い面を書き出す

過去の出来事は、別れた人を美化しすぎたり、悪く考えすぎたりすることがあるので、できるだけ冷静に、客観的な事実に注目しましょう。

思い出すのがつらいときは、胸の痛みが治まるまで、そっとしておきましょう。向き合ってみようと思えるようになったら、↓こちらの本・ワークが参考になります。

【参考】苦しみを和らげトラウマを乗りこえるためのワーク

STEP5 将来どのような関係を築きたいか書き出す

ここまでの人間関係を踏まえて、これから誰とどのような関係を作りたいか書いてみましょう。

STEP5 将来どのような関係を築きたいか書き出す

自分の気持ちを相手に伝えるポイント

人間関係の悩みを解消するために欠かせないのが、自分の気持ちを相手に伝えること。場合によっては、言いにくいことを言わなければならないこともあります。

いくら頭で理解していても、 思慮深く心優しい人ほど、「こんなこと言ったら悪いよね」「自分勝手な言い分かな」と本音を押さえつけているかもしれません。

このような不満は少しずつ心にたまって不穏な空気を作り出します。そして、それは相手にも伝わります。

お互いに気持ちよく過ごすためにも、思い切って自分の気持ちを伝えてみましょう。

1.落ち着いて話をする

精神科医の大野裕さんは、落ち着いて話をするためのポイントを5つ挙げています。

  • 相手の気持ちを深読みしすぎない。
  • 「なぜ、なぜ」と理由を聞きすぎない。
  • 話をしなくても自分の気持ちがわかってもらえると期待しすぎない。
  • 具体的に、簡潔に伝える。
  • 穏やかに話す。

(『こころが晴れるノート』P.103)

2.自分の気持ちをバランスよく伝える

攻撃的、受身的(悲観的)にならないよう、自分の気持ちを伝えます。

例)うつ病と診断され実家で療養中。父には「何事も自分次第。おまえにその気がないだけだ」と一喝され、母には「あなたのためを思って言っているのに!」「仕事もしないで情けない」と悲愴の言葉をぶつけられて落ち込む。
【攻撃的な受け答え】
「うるさい! 私だって好きでこんな状態になってるんじゃない! 先生にも休むように言われてるのに。なんでわかってくれないの!?」
【受身的な受け答え】
「すみません……(私なんて死ねばいいんだ)」
【バランスの取れた受け答え】
「ごめんなさい。仕事もせずに横になってばかりで申し訳なく思ってる。お父さんやお母さんにサポートしてもらってることも本当に感謝してる。でも、どうしても身体が重くて動くのがつらいんだ。それでさっきみたいな言葉を聞くと、自分なんていなくなればいいのにってすごく苦しくなる。どうやったら良くなるか一緒に考えてくれたら嬉しいな」

相手の反応によって、こちらの気持ちも変わります。素直になれず、思いをうまく伝えられないこともあるでしょう。

それでも、「こういう言い方なら受け入れてもらえるかな」といろいろな選択肢を考えてみることで、今まで気づかなかった相手の気持ちが見えてきます。

↓こちらのページでも気持ちの伝え方の例を紹介していますので、参考にしてみてください。

【実例つき】気持ちをうまく伝えたいなら、両者を分析&3つの技を使うべし

最後に

人と良好な関係を築くのは、必ずしも簡単なことではありません。いくら頭で考えても解決しませんし、相手があることなのでコントロールもできません。

自分の考え方を変えることや伝え方を工夫することも必要ですが、それ以上に大切なのは、対話をすること。

感情的にならず、話をする。伝えるばかりではなく、相手の話をじっくり聞く。

面倒な作業ではありますが、焦らず、時間をかけて向き合っていくことで、お互いが納得できる妥協ポイントが見えてくるのではないかと思います。

ただし、どんなに話し合ってもわかりあえない関係もあります。問題を先送りにしたり距離を置いたりすることも選択肢に入れて、少しでも心の負担を軽くする道を選んでいきましょう。

 

いっしょに行こう。

 

<引用・参考文献>
大野裕(2003)『こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳』 創元社 pp.98-107

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