認知行動療法の解説本『図解 やさしくわかる認知行動療法』を読みました。
とても良い本だったので、ご紹介します。
これから認知行動療法にチャレンジしてみようかなと考えている人におすすめしたい一冊です。
認知行動療法とは?
認知行動療法とは、認知療法と行動療法が組み合わさった心理療法です。思考を変える認知療法と、行動を変える行動療法。それぞれのアプローチから、心身をよい方向に導きます。
認知行動療法の技法にはさまざまなものがあり、本書『図解 やさしくわかる認知行動療法』では、よく使われる技法が網羅的にまとめられています。
監修者は福井至氏と貝谷久宣氏。認知行動療法や心の病気に関する書籍を多数出版されていて、本屋さんでもその名をよくお見かけします。ネットで調べ物をしているときにも、貝谷先生の文章に出会うことがありました。
福井至先生は、東京家政大学/大学院教授、臨床心理士で、専門は臨床心理学、認知行動療法。精神科医である貝谷久宣先生は、精神薬理学を専門とし、パニック障害や社交不安障害治療の第一人者として知られています。
このお二方に共通するのは、科学的根拠に基づいた心理療法を患者さんが納得のいく形で提案していること。
貝谷先生は「痛みをとることが医療の本質である」として、「その時点におけるあらゆる知識と最も進んだ設備を動員し、最高の治療をする」「state of the art の診療をするよう励んでいるつもりである」と和楽会サイト「理事長の治療方針」で語っています。
こんな内容です
本書は、認知行動療法の基本的な考え方と治療の流れを解説したものです。図解を使った説明やコンパクトな文章構成がわかりやすく、はじめて学ぶ人でも気軽に取り組めるよう工夫されています。ほぼすべてのページに親しみやすいイラストが挿入されているので、肩の力を抜いて読み進められます。
わかりやすい解説だからといって、内容が薄いとかレベルが落ちているとかいった印象は一切ありません。役立つ知識がぎっしりつまったボリュームのある内容です。
自分で取り組める実践法や、実際の治療で使われるものをアレンジしたワークシート、病気や症状にあわせて行われる認知行動療法のバリエーションまで。
認知行動療法の知識を得たい人、ワークを実践してみたい人、自分に合った方法を探している人、それぞれの人が求める答えを示してくれます。
薬物治療と並んで有効とされる認知行動療法は、従来の心理療法に比べ、効率よく問題を解決できる方法だといいます。
こころのつらさに悩むすべての人に役立ててほしいというメッセージの通り、一冊に心身を軽くするヒントが凝縮されています。
本書の魅力と効能
この本を読むことで、認知行動療法の全体像をつかむことができます。
基本的な考え方や治療の流れ、技法の種類や特長、その他さまざまな知識が紹介されているわけですが、それと一緒に思考の具体例も紹介されています。具体的なセリフがあると、うまく言葉が見つからないときに、自分と似ている例を真似しながらワークを進められるので、ありがたいですね。
図解とイラストが理解を助けてくれるところも本書の魅力です。導入部分もマンガのケーススタディから始まります。呼吸法やリラクセーション法の説明にも大きなイラストがあるので、ぱっと見でわかります。このあたりは、文章でズラズラ書かれてもピンとこないので、図解が最適ですよね。
質問用紙を使ったガイドもあるので、頭がうまく働いてくれないときでも取り組みやすくなっています。
実際に書き込めるワークシートもポップなデザインで、何度もくり返し使いたくなる感じです(ちょっと褒めすぎ?)。こういうちょっとしたことでやる気が出ることもあるので、意外と重要なポイントなんじゃないかなと思います。
考え方を変えろとか言われることに抵抗がある人は?
興味深かったのは、認知行動療法Q&A。
「うつや不安になるのは、私の考えかたがよくないからということ?」
「ものごとの受け止めかたは生まれつきの性格だから、変わらないのでは?」
「つらい感情が起こるのは人として自然なことでは?」
「うつ病などの心の病気は、薬でなければ治らないのでは?」
「効果が出るまでどのくらいかかるの?」
考え方を変えようと言われたときにちょっと反発したくなることってありますよね。そういった気持ちに答えてくれるコーナーです。
本書は認知行動療法の概要を解説したものなので、つらい気持ちに共感を示す内容はメインではありませんが、具体例として挙げられている思考は「わかるわー」と思うものばかり。
「私だけじゃないんだ」という安心感と「こうすれば回復を期待できる」という希望を感じられる人も多いのではないかと思います。
最後に
認知や行動を変えるアプローチで、心のつらさを軽くする認知行動療法。
その技法はバリエーション豊富で、何から手をつけたらいいか迷ってしまうほどです。まずは気になったところから少しずつ試してみましょう。きっと気持ちが変わるのを実感できるのではないかなと思います。
もちろん状態が悪ければ、なかなか変化を感じられないかもしれません。モヤモヤがきれいさっぱりなくなった! という劇的な効果を期待するとガッカリしてしまう可能性が高いです。
また、私自身がそうだったのですが、認知行動療法に取り組むのは面倒で、最初は積極的に実践できませんでした。なかなかしっくりくる考えが見つからないし、だるい。それで「もう認知療法とかいいや」と投げ出して、ふて寝。(参考:「認知の歪み?どうせ私は歪んでますよ」認知療法への抵抗感)
それからしばらく経った後、ふとしたときに思い立って、簡単なコラム法を試してみることにしました。ちゃんとしたやり方ではなく、テキトーにチラシの裏にちょろちょろ書いただけ。でも、ちょっと試しただけなのに、なんか心がラクになったみたい。
チープな通信販売の売り文句みたいですが、私には認知療法が合っていたようです。
調子が悪くて集中して文章を読めないとき、本書のようなイラスト入りの解説はありがたいですね。最初からこれを使っていたら、私も挫折せずにすんだかもしれない(し、そうじゃないかもしれない)。
どんなことでもそうですが、自分に合ったものを探し続けることが大事ですね。出会うタイミングによっても左右されます。探し続けていれば、チャンスは増えます。
くり返し練習することも必要です。何度もやっているうちにコツをつかめますし、良い変化を実感することができれば、積極的にワークに取り組めるようになり、好循環が生まれます。
まあそれができないから困ってるという話ではあると思うので、無理のない範囲で少しずつ。そんなありきたりの答えになるわけですけれども。
もし、認知行動療法を学べる本は何がいいかと聞かれたら、本書をおすすめリストの一つに入れると思います。入門書としてきっと役立つことでしょう。興味のある方はぜひ手にとってみてください。
<本日の一冊>
福井至 貝谷久宣監修 (2012)『図解 やさしくわかる認知行動療法』ナツメ社
装画担当はイラストレーターの内田尚子さん。優しい気持ちになれる可愛らしいイラストです。
内田尚子さんのサイト
atorie-n
よくよく思い返してみると、こういう病気の図解解説の本って素敵なイラストが多いですよね。他の解説本もめくってみたら、みんな良かった。素晴らしいです。
ナミ様
こんばんは。今帰りの電車の中で書いています。今日はいつにも増して苦しく、何かしていないとおかしくなりそうだったので、ご迷惑は重々承知ですが、投稿させていただきました。
こんな状態ですので、まともな文章にはなってないと思いますが、どうかお許しください。辛さから解放は我慢すれば良いのでしょうか。わかりませんよね、そんな事。自分は今まで、苦しみも耐えれば次には良い事があると、心の何処かで信じていました。でも辛い時期はずっと続いています。考え方を変えなきゃって頭では考えるのですが、実際簡単にはいきません。不器用な人間だから。人付き合いが苦手で相談できる友達もいません。でも、こんな不甲斐ない人間にも輝いていた時期はありました。同じ輝きは発せられないですが、少しでも自分らしさを取り戻したい。出来るのか、頑張ろう。そしていつかナミ様にお礼と一緒に報告したいです。こんな自分でもできたよ!って。乱文お許しください。