前回の診察で新たな事実が発覚いたしました。
主治医いわく、「ナミさんは躁うつ病(双極Ⅱ型)の可能性が高い」とのこと。
うつ病治療を4年半ほど続けて得られた答えです。
何年も抗うつ薬を飲んでいるのにうつ病が治らない!
あなたがもし「難治性」「蔓延性」などのうつ病と診断されているのならば、双極性障害の可能性があるかもしれません。
厚生労働省によると、海外ではうつ病患者の5~7人に1人が双極性障害の疑いがあるとのこと(日本ではまだ本格的な調査が少ないため、詳しいことはわかっていません)。
私も主治医に「うつ病患者さんの4割くらいは躁うつ(双極Ⅱ型)っぽい人がいるような気がする」と聞いたことがあります。「あくまで私の経験からの推測だから、何とも言えないけどね」という補足付きですが。
うつ病患者が無視できない双極性障害。ポイントを簡単にまとめましたので、詳しく見ていきましょう。
双極性障害(躁うつ病)とは
双極性障害は躁うつ病とも呼ばれ、気持ちが高ぶったり落ち込んだりして気分が不安定になる病気です。
双極性障害(躁うつ病)の分類
Ⅰ型:躁病のエピソードがはっきりしている。
Ⅱ型:躁状態は軽く、異常行動は目立たない。
Ⅰ型もⅡ型もうつ状態のときには、うつ病と同じような症状があらわれます。そのため、精神科医でも区別が難しいようです。過去の軽躁状態についても、的確な診断は容易ではないとのこと。
双極Ⅱ型障害の特徴
双極Ⅱ型の躁状態は軽く、病気と認識しにくいため、うつ病と診断されるケースが多いようです。また、患者さん本人が「気分爽快でいつもより調子が良い」と感じているために、適切な治療がなされないまま症状が悪化するケースもあります。
その他、双極Ⅱ型障害には、次のような傾向があると言われています。
- 過眠・過食
- 幻聴や妄想があらわれることもある
- 抗うつ薬があまり効かない
- うつ病に比べて治りにくい
さらに、とわたり内科・心療内科院長の唐渡雅行氏は著書の中で、うつ病患者さんに対してこのような注意を投げかけています。
「抑うつ状態」にあっても、
①症状が変動しやすい
②うつ状態の症状が一部しか見られない
③焦燥感、聴覚異常や行動化(大量服薬やリストカットなど)を伴う
④パニック障害、摂食障害を伴う
⑤抗うつ薬への反応が定型的でなく、うつ病相を繰り返すなどの症状が見られる場合には双極Ⅱ型を疑うことが必要
(『うつ病 診療最前線 ― 再発させない治療法』より)
軽躁状態を見きわめる7つのチェック項目
実は私、以前から双極Ⅱ型の疑いはあったんですよね。当時の主治医も 「うーん、うーん」と首をひねって、よくわからないままここまで来てしまいました。
で、私の軽躁エピソードが、こちらの軽躁状態チェック項目に当てはまるんですよ。
躁状態のチェック項目
- 自分にはなんでもできるなどと気持ちが大きくなる。
- 睡眠時間が短くなる。眠らなくてもいつも元気なまま過ごせる。
- おしゃべりになる。1日中しゃべりまくったり、手あたりしだいにいろいろな人に電話をかけまくる(メールにもあてはまる)。
- 次から次へ新しい考え(思考)が浮かんでくる。
- 注意が散漫になり、気が散って一つのことに集中できない。
- 仕事などの活動が増加し、よく動く。
- クレジットカードやお金を使いまくって買い物をする、異性にも積極的になる。
(『日本一役に立つうつとストレスの本』より)
今改めて振り返ってみると、かなり激しめでしたね。
「典型的なうつ病」との診断だったので、躁に対する治療はしていませんでしたが、こうして寛解を迎えられたのは運が良かったのでしょうか。まだまだ油断はできませんね。
双極性障害の治療
では次に、どのようにして双極性障害を治療していくのか、簡単に見ていきましょう。
作戦その1.薬物療法
基本的な治療は、気分安定薬を使った再発予防です。症状によって、抗精神病薬などを併用する場合もあります。
気分安定薬
一般名 | 商品名 | 効果 |
---|---|---|
炭酸リチウム | リーマス | 躁状態によく効く |
バルプロ酸ナトリウム | デパケン | 躁病予防に効果アリ |
カルマゼピン | テグレトール | 躁状態・予防に効果アリ? |
ラモトリギン | ラミクタール | 再発予防に効果アリ (うつ病再発予防効果が強い) |
抗精神病薬
一般名 | 商品名 | 効果 |
---|---|---|
クエチアピン | セロクエル | 躁状態・うつ状態に効果アリ |
オランザピン | ジプレキサ | 躁状態・うつ状態・再発予防に効果アリ |
これらの薬を利用して治療が順調にいけば、1~3カ月に1回、定期的に外来で診察を受けながら、問題なく日常生活を送ることができるとのこと。
作戦その2.心理療法
双極性障害には認知行動療法が有効だと言われています。
さらに、最近では、病気の情報提供を含めた心理教育も重要だと考えられるようになっています。
つまり、「自分ことや病気のこと、ちゃんと知ろうね」ってことですね。これから勉強していきましょう、ぼちぼちと。
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最後に
あなたの悩みにリンクする情報はありましたでしょうか?
前回の診察で、私は主治医に「今の薬は一生飲み続けた方が良い」と言われました。
ショックと言えばショックなんですが、「薬の力を借りて、病気と上手く付き合っていけばいいんだな」と、ある意味で救いになった部分もあります。まぁ、正直「うつだろうが躁だろうが、苦しくなければどっちでもいい」というのが本音ですね。
心の病気を受け入れるのはなかなか難しいことではありますが、今の苦しみを和らげる方法はあるはずです。そのために適切な治療を受けましょう。できる範囲で知識を増やしながら。
あなたの抱える苦しみが少しでも軽くなりますように。
<参考サイト>
・双極性障害(躁うつ病) | メンタルヘルス | 厚生労働省
・双極性障害 | Wikipedia
<参考書籍>