先日、『ブラック・ビューティー』という映画を観まして、これがすんごい面白かったので、その話をしようと思います(馬の映画とは別の作品です)。
ネタバレなしでいきますが、余計な情報に触れたくないよという人は、ここでいったんお別れ、またお会いしましょう。
というわけで、『ブラック・ビューティー』(原題: Always Shine)です。2016年に公開されたアメリカ映画です。
どんな内容かというと、
(ソニー・ピクチャーズ公式サイトより)
だそうです。あ、そうなんだ、と今知った感あるのですが。というのも、マッケンジー・デイヴィス目当てで選んで、詳しいことは気にせず観始めたもので……いや、スリラーと書いてあったのは見た気がする。でも、なんか普通のドラマかと思って観いておりましてですね……。
まあ作品ビジュアルからしてちょっと怖い雰囲気もあるんですけどね、でも、別にそんなホラーだとかスリラー的な怖さはなくて、ただ、なんというか、人間や社会をがっつり描いているな~という印象で、しばらく余韻が続きました。
最初観終わったときは「え?は?どういうこと?」と戸惑いが大きかったのですが、その後いろいろ思い返していくうちに、ああこれって比喩的に描いてる系なのかぁ~?と気づきまして。そしたら、なんというか、忘れられなくなった。そんな具合です。
人の深層心理を描く、方向性的にはそんな感じなんですかね。それプラス、この作品から感じるのは、今の社会構造に対する批判的な視線。モヤモヤしつつも、共感する部分あり、どうしようもなく嫌悪する部分あり、もう、とにかくすっごくうわぁぁ~となっているのですね、鑑賞中ずっと。
と書くと、しんどそうな印象が強まりますが、ずっしり重い系ではないと思います。というのも、前半はけっこう「あはは、これって最後ああなるフラグ立ちまくりじゃん」と爆笑しながら観ていたので。
けっこうわかりやすくキャラを描き分けている感じはありましたが、リアリティを感じながら観ていました。今思うと、いかにも象徴的だったようにも感じられます。で、とにかく「うげ~」「いやだぁ~」「うわぁ~」の連続だったんですよね。
って、やっぱりしんどいのか。ともあれ、退屈することなく、画面に引き込まれていたような気がします。やっぱり共感できる部分が多かったってことなのでしょうかね、嫌なシチュエーションあるあるとか? いや、あるあるじゃないな、「自分がその立場だったら最悪すぎて無理」みたいな?
こういう作品全体で何かを表現する系って面白いですよね。女優 × 同一化・嫉妬あたりでいえば、『ブラック・スワン』や『マルホランド・ドライブ』もめちゃくちゃ面白かったですけれども、今回の『ブラック・ビューティー』はかなり現実味ありだったので、より心の奥底にふれるものがあったのかもしれません。
で、そう、主演二人の演技がまたすごかったんでございますよ。正直なところ、わたくし演技の良し悪しってよくわからないのですが、本作に関しては驚いた。「こうも変わるのか!」とインパクト抜群。ほんとに役者さんってすごいですよね~、職人です。
あ、いま役者さんと書きましたけど、『ブラック・ビューティー』における主人公の二人は”女優”ですね。そこは重要なポイントです。
人間関係の機微や心の揺れ、葛藤を描いた作品が好きな人は、きっと『ブラック・ビューティー』楽しめると思います。社会構造への問題意識とか、そっち系もかな。
スルメ系映画ということになるでしょうか。こういう映画に出会えると、嬉しくなります。