現代社会は複雑です。何が正しくて、何が間違っているのか、白黒はっきりつけるのは難しい。
不公平な出来事に出会うたび、「正しいことをしても報われない」と感じます。似たような理不尽が続けば鬱憤もたまります。
だからこそ、フィクションの中で、悪い人が罰を受け、正しいことが認められると、スカッと爽快、万々歳。
これは「世界はもっとシンプルであってほしい」という、心の奥底にある願望が満たされるからなのでしょう。
最近読んだ『のんびり村の役場猫』という4コママンガが、まさにその願望の存在を教えてくれました。
のんびり村役場で働く猫守さんが、村の治安を守るために頑張るお話です。
「村の平和のため」、猫守さんは悪い奴らにお仕置きします。日々「平和への準備」も怠りません。
で、その内容がすごい。ポップでキュートな絵柄なのに、やってることが超ブラック。
普通に拷問。掟破りの人権蹂躙じゃねぇか、恐怖政治だよ(泣)という。
平和とは一体……。
これを面白がっている自分が怖くなります。
そう、この感情は一種のホラーです。自分の中に潜む暴力性に気づかされ、背筋が寒くなるのです。
このマンガが描いているのは、私たちの「こうなったらいいのに」という願望。
わかりやすい悪が存在し、それに対して躊躇なく罰を与える。
現実では不可能なことでも、フィクションの中でならOK。それは気持ちが良い反面、怖さもあります。我々は、心置きなく誰かを罰するために「完全な悪」を求めてしまうことがあるのですね……。
『のんびり村の役場猫』は後日談も印象的です。猫守さんが休日に「よしよし、OKだな」と村を見回るシーン。
すでに成敗された人々は、猫守さんの姿を見て震え上がります。
この光景は実に滑稽。しかしながら、同時に、権力のおそろしさを感じさせます。
更生して笑顔のパターンもありますが、それはそれで怖いというか何というか……。
極端な例示は、わかりやすさゆえに考えを深める助けにもなりますね。
だからこそ、ただのブラックジョークとして片づけず、自分の心の反応に向き合う必要があるのだろうと思いました……(震え)。
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4コママンガのフォーマットはテンポが命。可愛らしい絵柄と残酷な内容のギャップにより、メリハリつけて落とせるってことなのかな、と他の4コママンガも読んでみて思いました。