お仕事紹介漫画『火葬場で働く僕の日常』感想

お仕事マンガを読みました。火葬場で働いていた元職員さんの体験を漫画化したものだそうです。

何気なく読み始めたら、一気に引き込まれました。

火葬場で働く人がどんなふうに仕事をしているのか、舞台裏を知ることができてとても興味深かったです。

どうやって遺体が焼かれるのか、お骨上げまでの作業工程も具体的に描かれています。なるほど……とその余韻に浸ります。ニオイについても想像します。自分の想像をはるかに超えるものなんだろうということは理解できるけど、なかなか実感と結びつけられない。生物だから匂うのに、私はそれをよく知らない。私は現実を知らない。

そんなことを考えながら、自分がこれまでに火葬場で見たものを思い返します。

火葬場の職員さんには、深々と頭を下げたくなります。丁寧にお骨を扱ってくれて、説明してくれて、遺族を優しく促してくれて、思いやってくれて。本当にありがたい。

火葬場で待っている時間。あの空気感は不思議なものです。葬儀が終わって、悲しみや感情の高ぶりも少し落ち着いて、何かふわふわしたような感覚で、故人が骨になるのを待っている。

この時間に私はいつも充実感を覚えます。なぜなら、自分にとって一番重要な物事と向き合っている時間だから。

葬儀を終えて静かにその人のことを考える時間。悲しみだったり後悔だったり、つらい気持ちばかりでも、心のどこかに肯定的な気持ちがある。

同席する人も、いつもとちょっと違う。殊勝だったり神妙だったり。声のトーンも穏やかで優しい。そんな中にあるからこそ反対にがめつい部分が悪目立ちしてしまう人もいる。人の違った一面が見える。

こういう時間って、人生においてなかなかありません。「みんな火葬場にいるときの気持ちを思い出して日々を過ごせばいいのに」と10代の頃はよく思っていました。人間関係のゴタゴタに悩まされるたび「みんな最後は荼毘に付されて骨になるのに」と思いながらやり過ごしていたんですよね。まあ全然うまくやり過ごせませんでしたけど。

自分が知らない舞台裏を知れるお仕事マンガは面白いですね。こういう人たちの働きによって社会はできているんだと思うと、感謝感謝と手を合わせたくなります。どんな仕事でもそうです。本当に有り難いことです。
 

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