あなたは何かに絶望したことがありますか。
絶望とは、望みが絶たれること。願いが叶わないと思い知ること。
ブリタニカ国際大百科事典に面白い(難しく書いてあるからよくわからん)定義が書いてありました。絶望とは「一般にはある不在の善を獲得し,あるいは現存する悪を排除する可能性がまったくなくなった場合の精神状態。」(絶望とは – コトバンク)
へー。今よりよくなることはもうない。今の苦痛を取り去ることは不可能。そんな状態。ってことでOK? ……うん、これはつらい。
『魔入りました!入間くん』という漫画があります。主人公の入間(いるま)くんは、両親の私欲により悪魔界に売り飛ばされた苦労人(14歳)。にもかかわらず、ひねくれることなくホンワカ誰にでも優しい。悪魔のおじいちゃんに溺愛されながら学園生活を送ります。可愛らしい絵柄通りのハートフルなストーリーです。
※以下、内容にふれています。まっさらな状態で作品を読みたい方はここでさようなら。
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あるとき入間くんは、仲間だと思っていた悪魔の裏切りにあいます。絶体絶命のピンチ! しかし、入間くんは顔色を変えません。
「だって絶望してもいいことないじゃないですか」
「生まれてから修羅場をたくさん経験して 身に染みてるんです」
「絶望しても状況は変わらないし お腹もふくれない」
「僕が動かないとダメなんです」
(第33話より)
ほんとにそうだよねぇと頷きました。
期待はずれのことはいくらでも起こります。「もうすべておしまいだぁ……」と脱力するより何か行動を起こした方がいい。何もしなければよくなる可能性は低いままだが、何かしらアクションを起こせばよくなる可能性は高まる。諦めたらそこでおしまい。「行動あるのみ」なのである!
とはいえ、そんな簡単に気持ちを切り替えられるものではありません。心乱されるのがフツーの人間です。思い入れが強ければ強いほど、望みが絶えたときの衝撃は大きくなるもの。予想もしない裏切りにあってケロッとしているってどうかしている。つまり、入間くんはどうかしている。とても真似することはできません。
では凡人は一体どうしたらいいのか。
まず「物事は単純じゃないぞ」と肝に命じる必要があります。世の中のあれこれは複雑。人の心も同じく複雑。単一色になることはめったにない。どんなときもマーブル模様でグラデーションで、はっきり切り分けられない。「もうすべておしまいだ」とわかりやすく反応できることはそうそうないし、よくなる可能性がゼロということも多くはない(自分が思っているよりは)。
だから絶望する前に、何かできることはないか探ってみる必要がある! 日頃からそう言い聞かせておくと、ちょっとは違うかもしれません。
「人間万事塞翁が馬」「禍福は糾える縄の如し」なので、腐らずに今できることをする。そしてその後は「レット・イット・ビー」あるいは「人事を尽くして天命を待つ」。
いやはや、故事成語やことわざに納得することが本当に多くなりました。手垢にまみれた紋切り型の言葉も悪くないなと思います。
どんなときも「全力」とか「100%」というのは危険ですね。
諦めてすべて手放すのではなく、できる範囲でしぶとくしがみつくことがプラスに働くこともあるのでしょう(私は諦めちゃう派ですが)。
つらい気持ちで行動するのは大変なので、休み休み、無理のないように。