今日もバリバリ悩んでますか?
私は『悩む力』、存分に発揮しております。
……はい、そうです、姜尚中氏の影響です。
真面目に悩む人が好き
私は姜尚中さんが好きです。
どこが好きかと言うと、真面目~な考え方。
勝手に仲間意識を感じております。
ベストセラーとなった『悩む力』にも共感のタネがたくさん。そこには私がいつもぐるぐると考えていることがそのまま書いてありました。
- 「私」とは何者か?
- 世の中全て「金」なのか?
- 「知ってるつもり」じゃないか?
- 何のために「働く」のか?
- なぜ死んではいけないか?
こういうことを人に話しては「考え過ぎだよ」と一蹴されガッカリしていた私は、何だかとても嬉しくなりました。悩み友達ができたような気がして。
そして、そのまま『続・悩む力』へ突入。
頭の中でぐるぐる回る5つの悩み
では、悩み仲間と共有したい言葉を書き留めていこうと思います。
姜さんが夏目漱石やマックス・ウェーバーの書をヒントとしているのにならって、私も好きな人の言葉を引用しながら。
悩み① 幸せになりたいのに……。
幸せそうな人を見ると気分が落ち込み、何ともやるせない。
どうして私はこんなにつらい思いをしなければいけないんだろう。私には幸せになる資格ないってこと?
療養中、いつもそんなことをモヤモヤと考えていました。私が求めていた「ささやかな幸せ」。それは実はかなり理想の高いものだったようです。
「幸福の合格条件」
- 食べるに困らないくらいの収入
- 多少の趣味やつきあいができるくらいの余裕
- そこそこやりがいのある仕事
- 喧嘩しない程度の関係を保てる伴侶と、いく人かの子供
- 命にかかわるような病気にかかっていない
- 長生きに備えた貯蓄
姜さんの言葉を借りてまとめました。これが一般的に言われる「幸せ」。
私もこの「幸せ」を求め続けていました。人の数だけ幸福の感じ方があるということに気付けず、合格基準に満たないところばかりを嘆いてばかり……。
でも、ある歌をきっかけに気持ちに変化が訪れました。自分が考える「幸せ」がすべてではないと教えてくれた中島みゆきさんの歌。
幸せになる道には2つある 1つめは願いごとうまく叶うこと
幸せになる道には2つある もう1つは願いなんか捨ててしまうこと(中島みゆき「幸せ」より)
あきらめの大切さを実感したとき、私は解放されたような気がしました。
悩み② 私らしさって何だろう?
「幸せ」を求めると同時に、私は必死に「ホンモノの自分」を探していました。
「ホンモノの自分を探せ」
これが、ときには強迫観念になり、人を追い込んでいることが結構あるのではないかと思うからです。その価値観に照らして、「これは本当の自分ではない」「もっと輝くホンモノの自分があるはずだ」と、七転八倒している人たちがいるのだとしたら、ホンモノ探しの功罪について考えざるをえません。(姜尚中『続・悩む力』より)
これ、モロ私のことです。
追いかければ追いかけるほど、理想の自分は遠のいていく。
それは、今ある自分を認めることができていなかったから。足りないところばかりに目を向けて、自分を責めてばかりいたから。
映画「百万円と苦虫女」の中で、蒼井優さん演じる主人公・鈴子がこんなことを言います。
「自分なんて探したくない。むしろ逃げてるんです」
そのとき私は「あれ? 私なんでこんなに自分を必死に探してるんだろう?」と我に返りました。妙に冷めた気持ちになったのを覚えています。
そして今、私の胸にある言葉。
自分というものは“探す”のではなく“創造”するものなのよ!
(装苑「ミーシャの2.5次元ライブ」より)
ファッションの世界で活躍するミーシャ・ジャネットさんに教わりました。
「ホンモノ探しは神経をヘトヘトにさせる」と姜さんは言っていますが、まったくその通りです。
探さなくても、私はここにいます。
悩み③ じゃあ、私は何すりゃいいの?
「病気を早く治して、普通に働きたい」
それが一番の願いでした。もちろん今もそうなのですが、「仕事」「お金を稼ぐこと」に執着し過ぎてはいけないなと考えるようになりました。
人間が働く最大の理由は、「他者からのアテンション」(誰かからねぎらいのまなざしを向けらること)を求めるゆえだと言いました。ただ、そこにもう一つ付け加えるべきことがあります。それは、病気で働けない人や失業した人は他者からアテンションを受けられないのかといえば、そんなことはないということです。
なぜならば、職業だけが人間の尊厳のありかたではないからです。(……)働くことだけが人間の人格のすべての源泉になっているわけではありません。職業以外のことを通じても、自分が自分らしくあることは十分にできます。何かの理由があって仕事に就けていない人でも、そのときできるだけのことをやり、念じられる限りのことを精いっぱい念じていれば、尊厳は十分に保たれるのです。(姜尚中『続・悩む力』より)
姜さんは、経済学者・シューマッハーの「小さいものは美しい」という言葉を紹介していて、私もこの言葉がすごく素敵だなぁと思います。
ほんの些細なことでも、必ずそこに喜びがある。高い目標を掲げるのではなく、今できる「小さなこと」を一つ一つ積み重ねていけばいい。
出来る事から始めるのさ 結局はそれしかないんだ
(斉藤和義「ささくれ」より)
ギターをジャカジャカかき鳴らしながら歌う斉藤和義さんの姿が目に浮かびます。
今の自分にできることをやる、ホントこれに尽きますね。
悩み④ 人生って一体何なのさ?
私たちは人生というものに対して、しばしば「この人生は、私にとって何の意味があるのか?」とか、「この人生は、私にとってどんなよいことがあるのか?」とか疑問を抱き、不満を吐き出します。そして、意味がないと思えば絶望し、最悪の場合は、自分の手で自分の人生を終わられてしまったりします。
(姜尚中『続・悩む力』より)
死ぬことしか考えられない毎日を何とか乗り越えて、「死ぬまでは生きていこう」と考えるようになったとき、私は「人生に希望なんてない」「生きる意味などない」と投げやりな気持ちでした。
人生の意味を探し続けていた私にとって「生きる意味なんてないんだよ」という言葉は救いにもなったわけですが、最近その考えも少しずつ変わってきました。
意味があるとかないとか言うことではなくて、「あぁ、良かったな」「生きるのも悪くないな」と思えればそれでいいんだ、と。
フランクルの考えを元に姜さんはこう解説します。
私たちの人生は、ほかならぬその人生から発せられる問いに一つ一つ応答していくことであり、幸福というのは、それに答え終わったときの結果にすぎないのです。ですから、幸福は人生の目的ではないし、目的として求めることもできないのです。つまり、幸せをつかむために何かをやる、という考え自体が本来的に成り立たないのです。
(姜尚中『続・悩む力』より)
同時に、私の頭の中で槇原敬之さんの歌声が響きます。
迷い探し続ける日々が
答えになること 僕は知ってるから(槇原敬之「どんなときも。」より)
悩み⑤ こんなに苦しい思いをしてまで生きなきゃいけないの?
たくさん悩むことが答えにつながるとは言っても、つらくて苦しくてどうしようもないとき、「幸せなんていらないから、とにかく今の苦痛から解放されたい」と死を願ってしまうこともあります。
「これはうつ病の症状なんだ」と頭では理解していたとしても、渦中にあるうちは絶望しかない。今の苦しみを乗り越えられるとは到底思えない。
そう考えると、私には「苦しくても死んではいけない」と言うことはできません。もちろん、自ら死を選んでほしくはないけれど……。
そんなときハッとさせられた姜さんの言葉。
いまが苦しくてたまらなくて、つまらない人生だと思えても、いよいよ人生が終焉する一秒前まで、よい人生に転じる可能性がある
(姜尚中『続・悩む力』より)
そのときが来るまでは、胸を切り裂かれるような痛みがあるかもしれない。でも、そのあとにすべてをひっくり返してしまうほどの喜びがちゃんと用意されてる。だから、我慢する価値はあるよね、と。
ホフディランの歌にもこんなフレーズがあります。
そのときの笑顔がすべてをチャラにするさ
(ホフディラン「スマイル」より)
まぁ、つらいときには、なかなかそう思えないんですけどね。
最後に
悩むことが自分を豊かにする。
だから、どんどん悩んで迷おう。
とは言っても、ぐるぐる悩み過ぎると疲れてしまうので、ときには息抜きをしながら、歌を口ずさみながら、一瞬一瞬を過ごしていけたらと思います。
焦らず、無理せず、自分のペースで。
そのまんまを大切に。
<今日ご紹介した作品>
姜尚中 『悩む力』 集英社 2008年
姜尚中 『続・悩む力』 集英社 2012年
中島みゆき 「幸せ」(34thシングル「愛情物語」カップリング曲) 1997年
「百万円と苦虫女」
監督:タナダユキ
出演:蒼井優、森山未來、ピエール瀧
製作:2008年
ミーシャ・ジャネット
Misha Janette Official Portfolio Site
『装苑』にて「2.5次元ライブ」を連載中。
斉藤和義 「ささくれ」(8thアルバム『35 STONES』収録) 2002年
槇原敬之 「どんなときも。」 3thシングル 1991年
ホフディラン 「スマイル」 1stシングル 1996年
いつも拝見しています。
文章の構成力にはいつも感嘆しております。
私的にはチャップリンが映画ライムライトで語っていた「人生に必要なことは、勇気と創造力と少しのお金だ」というフレーズが好きですよ。
今日は大変寒い一日でした、どうぞお身体をご自愛して下さい。
ブログの新展開を楽しみにしております。