「やらねばならぬわけではない」との話をしないでもない

否定語って難しいですよね。「行かないといけないわけではない」みたいなやつ。

「行かないといけない(=行く必要がある)」+「わけではない」。だから「行く必要はない」、つまり「行かなくてもよい」。

ああっ、わかりにくい! 頭が混乱する!

でも、その混乱っぷりがちょっと面白いみたいなところもあります。いや、まあ、否定語でお茶を濁されることもあるから、ポジティブな面ばかりじゃないんですけれど。

否定語とどう付き合ったら、人生がいい感じになるでしょうか。

 

まずわかることがあります。自分が二重否定を使うときは、心が揺れています。本音を隠しているわけではなく、むしろ自分の思いを正確に伝えたいと思っている。

そう、人の心は常に揺れているんですよね。好き・嫌いの間、やりたい・やりたくないの間、肯定・否定の間。その中間地帯でゆらゆらゆら……。

その揺らぎや曖昧さを理解することで、人との向き合い方も変わってくるかもしれません。

いやまあだからといって「『私は悪くない』とは限らない、とは言い切れない」とか言われたらもうお手上げですけれども。

 

そもそも、「否定」それ自体が難しいという話です。

否定するとは、「ある」を「ない」にすること。一度「ある」ものをイメージしてから、それを取り消すという作業が必要です。「りんごがある/りんごがない」みたいな単純なことでも、脳内では高度な処理がなされているんですよね。

そんなわけだから、「しないでもない」は大変です。いったん「する自分」を想像してから、「しない自分」へ戻り、その「しない自分」を「しない」と言う。

自分で書いてて訳わからん。頭の中が腸捻転。いや、脳内に腸はないから、神経回路ぐるぐるねじれてニューロン迷子大混乱といったところでしょうか。

はぁ。

 

「NO MUSIC, NO LIFE.」という有名なコピーもあります。「音楽がなければ人生もない」というメッセージ。「ない」と言うことで「ある」を強調する。

私はいまだにこの語法をうまく掴めていない気がします。正直、ムズくないです? 英語が苦手な非英語圏の人間としてはさ、どうしてもさ……。

 

そんなこんなで否定語は難しい。

とはいえ、NOTなワードは憎めません。

それは、私が常々思っているからかもしれません。「違う、そうじゃない」という逡巡って大事だよね~と。

「ややこしや~」には味わいがあります。

そういう面倒さ、複雑さを楽しめるだけの余裕を持っていたいものだなと思う今日この頃です。

 

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