鬱を巡り、私を巡り、そこにあるもの/『鬱の本』感想

『鬱の本』を読みました。

この本を知ったきっかけは、確かphaさんのツイートだったと思います。

双極症で抑うつと長い付き合いであります当方、「鬱と言われりゃ読むっきゃないでしょ!」という気持ちで手に取りました。

 

書き手は84人。人気の作家、歌人、エッセイスト、詩人、ミュージシャン、画家、本屋店主、会社員などなど、それぞれの鬱体験やそのとき読んだ本についてのエッセイが収録されています。

自身のエピソードを深く掘り下げているものもあれば、本を通じた気づきをシェアするものもあり、多彩です。

一人2ページずつのコンパクトなエッセイです。ちまちま読めるのがいい。ひとつひとつ大切に読みました。

 

鬱について語るさまざまな切り口。ページをめくるたび、いろんな気持ちを味わえます。

ある人の言葉には「わかる〜!」と心底共感し、また別の人の話からは新たな気づきをもらう。鬱にまつわる話なのに思わずクスッと笑える文章もあって、鬱というテーマの幅広さを実感しました。こんなにも個性って出るんだね〜と。

人それぞれの捉え方や表現の違いを楽しめる一冊です。

 

「自分以外の人生がたくさんある」

本書を通じて感じたことです。それだけで、なんだか心強く思える。

特に、自分と似たような雰囲気で、共通点がありそうな人生に対して。心が弱っているときほど、沁みるだろうなぁ……。鬱で死にかけてた頃の自分に手渡してあげたい。

そのときの気分によっても感じ方は変わるだろうし、読むたびに発見がありそう。何度も読み返したくなる一冊です。

きっと自分好みの一編が見つかると思います。

改めて、読んでよかったと思いました。

紹介されていた本の中で気になったものも多くあります。次はその本を読んで、さらに世界を広げられたら、と思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です