あなたが最後に手紙を書いたのはいつですか?
大抵のことはメールやラインで事足りるし、手書きで文字を書く機会って、昔に比べるとめっきり少なくなりましたよね。
ですが先日、ひょんなことから手書きで手紙を書いたら、これがまぁ楽しくて。
かなりの満足感と多幸感を得ましたので、今日はその感想と、直筆の手紙がもたらす効用について書きます。
『たった一通の手紙が、人生を変える』
今回手紙を書いたのは、前に仕事でお世話になった人。
メールにしようか迷ったのですが、その方はアナログも好きだと言っていたので、手書きで書くことにしました。
「さぁさぁ、どうやって書こうかな~」と思っていたとき、本屋さんで、こんな本見つけました。
『夢をかなえるゾウ』でおなじみ、水野敬也さんの本です。水野さんといえば、自己啓発書のエッセンスを取り入れたエンタメ読み物を得意とする作家さん。私の中では、ふざけたことをド真面目な顔で延々と語る、笑える系のイメージが強め。ですが、今回はいたって真面目な内容を、真面目なトーンで解説していました。非常に実用的な書です。
特によかったのは、小説家の朝井リョウさんがつんく♂さんに向けて書いたファンレター。これがね、愛が溢れているのですよ。
朝井さんの手紙を読んで、どんな相手に対しても「あなたのファンです」という気持ちで書けたら素敵だなと思いました。いえ、もちろん好きじゃない人におべんちゃらを言う必要はありませんが、好きな人には好きって伝えようぜ的な。
よくある『手紙の書き方・マナー』のようなテンプレ集ではなく、絶対に欠けてはいけない大切な部分、気遣いの本質を教えてくれる本です。
なかなかこういう本ってないんじゃないかなと思います。生きた参考書といいますか。
手紙を書く機会がある人は、買って損なし。
多分、これからも事あるごとに参照すると思います。
ヲタクの愛★ジャニヲタはやたら文章が上手い
んでですね、ファンレターっていいなと思って、ネットでも調べてみたんです。
そうしましたら、ヲタク(ご自身でそう書かかれている方が多かったのでその表記に従います)の方のブログがいっぱい見つかって、それがすっごい面白い! 読み応えもありありなんです。
ジャニーズをはじめとするアイドル、宝塚、俳優、声優、バンドマン、フィギュアスケート選手、タレント、作家、漫画家などなど。
並々ならぬ愛を感じました。「ワイの推しが今日も可愛くて死ぬ、尊すぎる眩しすぎる」みたいなね。「沼」という表現がありますけれど、ほんとにぴったりだなぁと思いました。一度ハマったら抜け出せない沼、これいかに。
誰かが好きなものについて語ってるのを聞くのは楽しいですよね。こっちまで嬉しくなります。
あと文章うまい人多いですよねー。私、圧のある文章が好きなので、すごい読んじゃう。ぐいぐい引き込まれるのですよ。面白くて。
ジャニーズは肖像権が特に厳しいから、何とかして感動を伝達するために、言語能力が発達したんじゃないかって気もしますよね。
「与えよ、さらば与えられん」
そんなこんなで、彼女ら(見たところみんな女性でした)の深い愛情を知り、がぜんモチベーションが上がりました。
で、まずは文具屋にレターセットを買いに行きました。
我ながら、「今回は気合いが違うな」と感心しましたよね。
・PCで下書き・推敲する
・便箋に鉛筆で下書きする
・変なところがないかチェックする
・清書する
・鉛筆の線を消しゴムで丁寧に消す
こんな全力で、緊張しながら書いたの、高校入試の願書以来じゃないかって。途中で何回か「私は何をやっているんだ? ここまでやる必要ないよな?」と思いました。でも、振り切りました。
なんだかんだで、書くこと自体が楽しいんですよね。文章を考えるのも、ペンで紙に書きつけていくのも。「喜んでもらえるかな~」と考える時間が楽しいんだろうなと思います。
相手の喜ぶ顔を思い浮かべると、ふふ♪ってなるし、素敵なところを挙げていくと、さらにその人が好きになって「あぁ、こんなに素晴らしい人と出会えて私は幸せだ」と気分が上がります。
まぁ、こういう心理状態になっているときは、いったん冷静になった方がいいんですけれど、素敵だなと思ったところを素直に「素敵だね」と表現することは、自分も相手もハッピーにするし、周りにも良い影響を与えるよなーと思うので、積極的にやっていきたい。
「与えよ、さらば与えられん」ってやつです。
落ち込んでいるときに、手紙を書くのは大変ですが、それでも昔、めちゃめちゃしんどいときに手紙を書いて「ちょっとだけ気分が上がったな」ということがありました。
「つらい。何もする気になれない。よし、今日はとりあえず、あの人への返事を書こう。それだけできたらOKってことにしよう」
そう思って無理やり実行してみたら、どうしようもない感じが少し和らいだんです。忘れもしません、7月10日、納豆の日でした。
うつを患ってからも、手紙を書いたことがありました。仕事をやめたり、約束をドタキャンしたり、方々に迷惑をかけてしまったので、謝罪とお礼のお手紙やメールを出さねばと。寝込んでいるときには書けないので、体調がましな日に少しずつ少しずつ。書いては寝込み、書いては寝込みをくり返していたような。かなり苦労した記憶です。
それでも、「できたぞ!」という達成感はあって喜んでいたと思います。
やはり手紙の効用はあなどれなさそうでございます。
最後に
常に相手の立場に立って、
- 喜んでもらうにはどうすればいいか?
- どんな言葉を選んだら、こちらの真意が伝わるか?
- 自分がもらったらどう思うか?
これらのことを自分なりに一所懸命考えて、言葉に置き換えていくことが大事なんだなーと、改めて今回学びを得ました。
これは手紙に限らず、何にでも応用できそうですよね。
メールやラインが主流の今だからこそ、直筆の手紙のインパクトって大きいのかもしれません。
やっぱ、手書きの文字って、均一でない分、個性があって、存在感がありますもんね。急に文字が大きくなったり、疲れたのか勢いが弱まったり、書くスペースが足りなくなって詰め込むような配置になってしまったり……。ぱっと見で伝わる情報量が多いし、紙やペンをどう扱っているかというところにも人となりが表れて面白いです。
『たった一通の手紙が、人生を変える』では、直筆の手紙がもたらす価値として、「通常であれば決して会えない人にと会えた」「謝罪の手紙を送ることで、失敗をする前よりも深い関係になることができた」といったことが挙げられていました。本当に、それだけの力はあるよなーと思います。
「手紙はいらん」という人も中にはいるかもしれないので、そのあたりは相手の好みに合わせつつ、これからも直筆の手紙を活用していきたいなーと思いました。
どんな形であれ、「相手の立場に立つ」という原則を忘れないことが大事ですね。
読者に宛てた水野先生からの「あとがき」がまたよかったです。