「私はダメだ~」と言わずにはいられない理由

うつむく男性

「あぁ、ダメだぁ……」とため息ばかりついてしまうこと、ありますか?

私はあります。抑うつ全盛期は毎日「ダメだ」を連呼していました。

病気になって何もできない自分が不甲斐ない。
どんなに頑張っても自分を認められない。

「やっぱり私はダメ人間」

そう言わずにはいられなかったんですよね。ダメじゃないとわかっていても、心からそう思えなくて。

今日は、一生懸命「ダメだ~」と自己否定してしまう心理について考えてみました。

なぜ「ダメだ~」と言うのか?

「自分はダメだ」という嘆き。そこには「ダメな自分じゃダメなんだ!」という強い思いがあります。

「できない」「やらない」は絶対悪。「ダメな自分」は罪。もしそんな自分を肯定しようものなら、生きてはゆけぬと切腹しかねない勢いです。

そもそも完璧な人間なんていませんし、何をするにも失敗はつきもの。それにもかかわらず、その現実を受け入れられない。「ダメ!」と一刀両断にしてしまう。

ダメな人はダメだから、ダメじゃない人でいたい。でも、どんなに頑張っても結果が出ない。良い結果が出なければ、私はダメだと認定されてしまう……!

その恐怖から逃れるためにこんな対処をします。

  1. 「私はダメだ」と自分を戒め、気合を入れる。
  2. 「私はダメだ」と言うことで、周囲に「自分がダメだってことは自覚しているんです」という問題意識・意欲を示す。

その結果、自分の中で「ダメ」の度合いは多少弱まります。

私としては、全然そんなつもりはありませんでした。でも、何となく「ダメだ~」と言うことで安心している節があるよなぁとは感じていて。

必死に自分をダメ人間扱いしているときの心中は、こんな感じ。

「自分がダメだってことはわかってるんです。何とかしようと自分なりに努力してるんです。それを汲み取ってくださいお願いします。ダメな私をどうか見捨てないでください。嫌いにならないでください。憎まないでください。お願いします。ダメじゃない自分になるために努力します△※$☆◆◎♭」

人に「ダメじゃないよ」と言われたとき、全力で否定するのも根本は同じかもしれません。

私:「ダメだ~」
君:「そんなことないよ」
私:「いや、そんなことなくない!(ここで認めたら「『ダメじゃないよ』って言ってほしいだけでしょ」って思われる、それはただの甘えだからダメだ!)」

うわぁ……、我ながらめんどくさいざます。

「できないことは悪いこと」は不幸の始まり

私の日記やブログには「ダメじゃないよ」という言葉がよく出てきます。これは、「ダメだ~」が口癖の私自身へのメッセージであり、私と同じように自分を責めて苦しんでいる人に向けたものでもあります。

以前の私は、漠然と「自分を責める必要はない」「価値のない人間なんていない」と思って「あなたはダメじゃないよ」と書いていました。

「できないことはダメじゃない」
「そのままでいいんだよ」

でも、「できない・やらないは罪!」と考える人間にとって、ダメであることは嫌。苦痛なのです。

それゆえ、「できなくてもいいんだよ」という言葉さえも否定的に聞こえてしまいます。「やっぱり私は何もできないダメ人間なんだ……」と。

「ダメなものはダメ!」という強固な思考。おそらくこれが罪悪感の正体です。

「できない=悪」という不幸の方程式。どうしたら変えられるでしょうか。

「できない」と「悪」を混同しているから苦しい

「完璧な人なんていないよ」
「できないことは罪じゃないよ」

このことを伝えたいだけなのに、なぜうまくいかないのか……。

いろいろ考えて見えてきたのは「ダメ」という言葉。これがちょっとわかりにくいんですよね。

この文章の始めの方を読み返してみると、私は「ダメ」を2つの意味で使っています。

【ダメ】
①できないこと。やらないこと。
②悪いこと。

微妙にニュアンスが違います。

悪いことは悪いこと。でも、できないことは悪いこと?

やらなければいけないことをやらないのは悪いこと。でも、やる必要のないことをやらないのは悪いこと?

今、辞書を引いてみたら、ちゃんと書いてありました。

だめ【駄目】
①いくらやってもしかたがないこと(様子)。むだ。
②いくら努力しても出来ないこと(様子)。
③そうすることを禁じること(様子)。
④好ましくない結果になる(が予想される)こと。また、その様子。

(新明解国語辞典 第五版)

これを簡単な言葉に置き換えると、
①ムダ
②できない
③禁止
④よくない(≒悪い)
といったところでしょうか。

①や②は必ずしも悪いことではないのに、④の「よくない」に引っぱられて、全部悪いことにされちゃいましたー、という感じがします。

こうやって「ダメ」を曖昧なままに使いすぎて、ごっちゃになってしまったんでしょうね。このニュアンスの違い、今まで意識したことありませんでした。きっと、それは私だけじゃないはず。(え? 私だけ?)

「ダメ」って実は難しい言葉だったんですね……。

こうして私は「ダメだ~」と言わなくなりました

私が「ダメだ~」の苦しみから脱け出せたのは、「駄目で元々」を受け入れられたとき。

「え? そんなことも知らなかったの?」「わざわざ言わなくても知ってるし」と自分で自分にお返事していたら、自然とラクになりました。

今までずっと現実を受け入れられなかったんですね~。

「ダメな自分」を認められず、「できる自分」になろうと一生懸命もがく。しかし、彼女が思い描く「できる自分」は「完璧な自分」。完璧以外は全部ダメ。ゆえに、どんなに頑張っても満足できない。

あぁ、なんと不幸な物語でしょう。

「ダメ」という言葉には要注意ですね。「私ってダメだ~」の九分九厘は「私、できない~」。でもって、できないのは当たり前。適切な行動を重ねれば、できるようになるから大丈夫。プロ野球選手になるとか無茶なこと言わなければ。

私にとって効果があったのは2つ。

  • 「ダメだ~」を「できない~」に言い換える
  • 否定するかわりに「何が?」「なぜ?」「じゃあどうする?」と問う

何でもかんでも「ダメだ~」で自己攻撃するのをやめれば、「ダメなものはダメ!」と自分を縛りつけるロッテンマイヤー先生から逃れられます。

※ハイジに厳しいロッテンマイヤー先生は、悪い人ではありません。

最後に

「頑張らなきゃダメだ!」「結果を出せない自分には価値がない!」「生きる資格がない!」という考え方になってしまうのはなぜでしょう。

理由はわからないし、必死になって探す必要もないけれど、そういう考え方はつらくなるので変えていきましょう。柔らかくしていきましょう。ということですね。

良い悪いにこだわらなくなれば、きっとその苦しみも和らぐはず。

そのままを、そのままに、そのまんま東。

 

<今日の復習>
1. ハイジ先生のお姿をご覧ください。

Heidi Are you bad person ?
(ハイジはダメな人ですか?)
No , it is not a bad person .
(いいえ、ダメな人ではありません。)

2. コジコジ先生のお姿をご覧ください。

「コジコジはコジコジだよ」の名言でおなじみのコジコジ先生は、このようにおっしゃいます。

えっ悪いの? 遊んで食べて寝てちゃダメ?(……)
盗みや殺しやサギなんかしてないよ 遊んで食べて寝てるだけだよ なんで悪いの?

こうして、コジコジ先生の先生はチアガールになってしまいましたとさ。

3 COMMENTS

山太郎

お疲れ様です。
あなたは、すごく自分をしっかりと持っており素晴らしい人ですが、どのような素性の方でしょうか?鬱になった経過などについて、どこかに書いてあるのでしょうか?自分は、まさに鬱の目前なので、このプログを最近よく見て、勉強に
なってます。

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ナミ

山太郎さん、はじめまして。コメントありがとうございます。

素性、ですか。うーん、なんとお答えしたらいいか困ってしまうのですが……。

私自身うつ病と診断されるまでのことは整理できていない部分があります。どのように書けばいいかわからない部分もあります。そういうことも含めて、うつ病回復のために必要なことを模索しながら、考えたこと・感じたことを綴っています。

今後は、自身をよく見つめ、それをもっとわかりやすい形にしていけるよう精進いたします。

鬱の目前とのことですので、どうぞ無理をなさらず、お身体を大切にお過ごしください。

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エマ

ナミさんこんにちは。
あーわたし、落ち込んでいます。完璧な人間を求めて、ダメな自分を責めて。
でも、「え、そんなことも知らなかったの?」「ダメで元々」の言葉を読んで、少し気が楽になりました。
そうですよね、わたしは不完全で、失敗することもある。叱られることもあるし、褒められることもある。
じぶんをよしよししてあげて、生きていきたいです。
少しずつ、少しずつ…いっぺんにはできないので、少しずつ。

ナミさんのブログに救われています。ありがとうございます。

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