『対話型ファシリテーションの手ほどき』という本を読みました。
この本はすごい。めちゃくちゃ勉強になりました。心の動かされっぷりがすごいので感想を書きます。
『対話型ファシリテーションの手ほどき』は、「ムラのミライ」というNPO法人の現代表、中田豊一さんが書かれた本。
「ファシリテーション」とは、日本語で促進や助長を意味します。平たく言えば、問題解決の手助けをすること、といったところでしょうか。
そのためのコミュニケーション手法が、対話型ファシリテーションです。
その真髄は、表紙のコピーににあるとおり。
「なぜ?」と聞かない質問術
「どうでした?」ではどうにもならない
「いつ?」「どこ?」「誰?」「何?」という事実確認を重ねることで、相手に気づきを与え、自発的な行動を促進する。
国際協力の現場で培われた経験をもとに体系化されたこの手法は、2022年に「メタファシリテーション®」の名称で商標登録され、現在は普及のための取り組みも行われているそう。
本書では、現場での経験や研修でのエピソードを実例として挙げながら、問題を解決に導くための方法論を紹介しています。
この手法は、和田信明さん(ムラのミライの前身であるNGOを創立した方)の職人芸的な対話術を、中田豊一さんが体系化したものということで、その神業的な対話事例にもふれることができます。
この本を読んだ直後、人と会話する機会があったので、さっそく本書で学んだ手法を試してみました。
その人は、対人関係の悩みを抱えているようでした。以前なら「どうして……?」と言葉を発したであろうシーン。ぐっとこらえて、本書に書かれていたことを思い出し、質問しました。
「○○になったのはいつ?」
「その前は?」
「そのとき一番困ったのは何?」
すると相手は少し考えてから、より具体的な問題点を話し始めました。
これにはびっくり。これまでは雲を掴むようなあやふや会話に終始しがちだったのに、ものすごく内容がクリアになった! すごい!
地に足のついた会話ができたと感じた瞬間でした。
相手も「なんかちょっとスッキリした」と言っていました。
ファシリテーションの手法は、身近な人間関係でも役立つと示されている一方で、家族には使いづらいと書かれている部分がありました。確かに、何気ない雑談でかしこまった質問をしたら変だし、「それはいつ?」「どこで?」「誰が?」「どう対処したの?」という質問を重ねることがそぐわないシーンもありそうです。
でも、よりよい関係を築きたい相手にこそ、この技術を使うべきだと思いました。
家族との対話は感情的になりがちだし、相手を詰問するような言葉をぶつけあった結果、険悪な関係になってしまうのはよくある話。
そんなとき、冷静かつ建設的な話し合いができれば、より良い関係を築くことができるはず。
「親しき仲にも礼儀あり」ならぬ「親しき仲こそメタファシリテーション」。そう一人確信を強めました。
ファシリテーションの技術を身につけるには、とにかく実践が必要とのこと。
まずは、身近な会話から始めていきたいと思います。
チャットのような形式で一人二役を演じながら練習するのも一つの方法かなと考えているところです。自分の内なる対話をサポートすることで、自己理解が深まり、問題解決にもつながる、そんなメリットもありそうな気がします。
次はどんな場面でこの手法を活用できるか楽しみです。