双極症(双極性障害)のガイドラインが新しくなったとのことで、ちょっくら読んでみよっかな~と軽い気持ちでPDFファイルを開いてみたら、159ページもあってウケてしまいましたの日記です。
[PDF] 「日本うつ病学会診療ガイドライン双極症2023」いやだってね、前のガイドラインくらいの分量かなと思ったんですよ。↓これね、
[PDF] 「日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅰ.双極性障害」そしたら新ガイドライン、臨床の疑問(クリニカル・クエスチョン, CQ)が50以上ズダダダダーと並んでいる! わーお、すっご~い! お医者さんをはじめとする医療従事者のお仕事って本当に大変だなぁと口半開きのアホ面になってしまいましたとさ。
で、まあぼちぼち読んでこうと思いつつ全体をパーッと眺めておりました。そうしましたら、巻末に利益相反情報というものがありました。これまでのガイドラインにも書かれていたけど、表にまとめられていて、よりわかりやすい。思わず見入ってしまいました。
(以下、思い出話)
このブログを始める前、まだ体調が不安定だった頃のことです。書籍やネットで自分の現状と関係ありそうな情報を集めていました。求めている情報になかなかアクセスできず困り果てることが多かったです。今に比べると情報が少なかったこともあるし、自分の情報収集能力が低かったこともあります。というか、頭が全然働いていない状態だったから、まともにリサーチできてなかった可能性が高い。
そんな中、ネットでたまに遭遇するのが、薬害に関する情報。不安になって情報をたどると、個人ブログに行き着きます。リンクをたどると過激な主張に出くわします。不安になります。リンクをたどればたどるほど知らない情報。不安が増します。それをくり返すうちに過激な主張にふれる機会が増えます。陰謀論めいたものも出てきます。不安が不安を呼びます。
私はこのままで大丈夫なのだろうか……?!
私は関連情報のチェックをやめました。「このまま続けてはいけない」と直感したんだと思います。
やめる選択ができたこと、我ながら意外です。SNSも今ほど普及していなかったし、情報が多すぎないことが功を奏したのか、ただ気力が失われて投げ出しただけなのか、そのときの心境は薄らいでしまったけれど、おかしな方向にはまり込んでしまわなくてよかった……。当時のことを思い出すと、今でもちょっとハラハラします。
(ガイドラインの話に戻ります)
「利益相反(conflict of interest, COI)」とは、患者の利益と、研究グループや製薬企業の利益が対立している状態のこと。これにより疑いが生じたり、患者にとってよくない影響が及んだりするリスクがあるから気をつけましょうねという話だと思うんですけど。
確かに、ドクターが製薬会社から資金提供を受けていると聞けば、提供を受けた会社に多少なりとも好意的になるのかなとは思います。だって、よくしてもらったら何かお返しをしたくなるのが人情じゃないですか。いくら冷静な態度を貫いているつもりでも、無意識のレベルでは何らかの変化が生じますよね。実際にやりとりするのは人間同士なわけですし、感情をゼロにするのは不可能です。その上で、まっとうな研究者は、利害抜きで研究を進め、事実や理論を明らかにすることがお返しになると考えるんだろうと思います。
が、問題となるのは、資金提供等に過剰反応して、ドクターや製薬会社などを悪者に仕立て上げてしまうこと。それが先の話の陰謀論めいた過激な主張の数々です。不安なときほどハマりやすい。今はSNSや動画配信サイトの普及により、より情報にのまれやすい土壌ができあがっていて怖いですね……。昔の自分だったら、巻き込まれているんじゃないかと思うんですよね、だってまともな思考力じゃなかったから。うつ状態のときは頭が働かないし、軽躁状態のときは思考が飛躍して明後日の方向にいっちゃうし、認知もねじくれていたし。当時に比べれば落ち着いた今の状態でも、過激な意見に取り囲まれたら「そういうものだ」と思ってしまってもおかしくない。
だから気をつけないといけないなと常々思って、情報元や根拠をチェックするようにはしているんですけれど。本当に大丈夫なのか、自分を信用できないので、不安はつきません。
そんなわけなので、こうやってガイドラインに利益相反の情報をわかりやすく記してもらえると、ちょっと安心するわけですね。情報をオープンにして、ちゃんとやってますよーな姿勢が伝わってくる。
と同時に、何においても人や組織を信用できないのは、ズルをする政治家や企業のせいだという苛立ちも生じてしまうんですけれども。一部の人が悪いことをするせいで、まじめにやってる他の人たちまで信用してもらえなくなっちゃうのは嫌ですね。あーあ。って話が脱線してきたので、信用云々はこれくらいにして。
「日本うつ病学会診療ガイドライン双極症2023」読みます。「オッ」「これは」と思う情報があれば、またブログに書こうと思います。
その他のガイドラインもうつ病学会のサイトにリストアップされています。
ガイドライン検討委員会 | 日本うつ病学会 Japanese Society of Mood Disorders