焦りに支配された私が学んだこと「明日でいいことは今日やらない」

ボストンテリア

前回、「妥協」が今年のテーマとお話する中で、「いつやるか? 今でしょ!」というやや懐かしいフレーズを挿入したのですが、この言葉は捉え方を間違えるとマイナスに働くこともあるよなぁと思ったので、今日はその周辺について書きます。

「~しなければ!」という意識が強い方は、何かしらの共通項が見つかるかもしれません。
 

「今やる!」にこだわりすぎると……

「今日できることは明日まで延ばすな」

私は今までそうやって自分を追い込んでいました。「成長のため!」という気持ちもありましたし、面倒なことを残しておくのは嫌だからさっさと片づけたいという思いも強くて。「やらなきゃ」と思いながら過ごすのって意外とストレスがたまるんですよね。どうもスッキリしない。何をしていても気になる。ちゃんと休めない。だから、今できることは今やる。

簡単な作業はそれでいいんです。でも、早く仕事が片づけば、その分仕事が増えて忙しくなるということは多々ありますし、長期的な課題になると、前倒しにすることが必ずしもプラスにはなりません。

私がそれを痛感したのが、病気をしてから。調子が落ち着いてリハビリを始めようとするとき、あるいは、社会復帰に向けて準備をするとき。

とにかく先走ってしまうわけです。「早く普通の生活に戻らなきゃ!」という焦りがベースにあって、そこに「今日できることは明日まで延ばすな」がプラスされる。

「よし、運動しよう!」
「よし、この求人に応募しよう!」

これで、順調に行動を積み重ねていければいいのですが、残念ながらスタミナはすぐに尽きます。心も不安定なので、ちょっとうまくいかなかっただけですぐに折れます。その結果、次につなげられません。最悪、寝込みます。

計画性ゼロ。「今日できることは」の前提が満たされていない。にもかかわらず、勢いで何とかしようとする。こりゃダメだ。

まだこうやって行動に移せたときはいい方です。失敗が続くと、だんだん行動に移すことさえできなくなります。

その結果、「今すぐやらねば!」という焦りばかりが強まる → 失敗が怖い → 何もできない → 落ち込む → 「私はダメだ」と自分を責める → 「早く何とかしなきゃ」 → 「今すぐやらねば!」 ……→(以下、くり返し)

出たー! お得意のぐるぐる思考!

「グジグジ悩んでいても始まらないから、とりあえず行動に移してみよう」がスタートだったのに、「今やる!」に固執しすぎて不要なネガティブ思考を発動している……! ストレスも倍増! 本末も転倒!
 

まずは現在地・バイオリズムを把握する

私に必要だったのは、

  • 現状を知ること
  • 無理のない目標を立てること
  • 段階を踏んだ計画を立てること

そこまでやってはじめて、「今日できること」がわかります。そして、「先延ばしにせず今やろう」と適切に頑張れるようになるんですよね。

もう、何でもかんでも頑張ればいいってわけじゃないのよ、と過去の自分に言いたい。

現状を知るためには、記録をつけることが役立ちます。その日の気分や喜びを数値に置き換えて記録しておくだけでも、大まかなバイオリズムはつかめます。

【参考】出口のない暗闇の中で「希望の光」を探すコツ ― 記録しよう!

いきなりズドーンと落ちるとガッカリするし、「なんでなんでなんで!?」と不安定な自分を責め立ててしまうことがあります。

それでも、波があることを知っていれば、「そういう時期なんだな」と気持ちをなだめることができます。 「もうすぐ落ちる頃かもしれない」という可能性を頭の片隅に置いておけば、予防策を立てられます。

うつ病の経過イメージ

【参考】うつ病の経過パターン ― 治療期間と回復期を乗り切る秘訣

良くなったり悪くなったりをくり返しながら回復に向かう。理解しているつもりでも、いざ困難に直面すると忘れてしまいます。それで私は過剰に落ち込んだり焦ったりして自分を見失うのでした。

でも、そんなふうに一喜一憂するのも、一生懸命取り組んでいるからこそ。そういった部分は大切にしていきたいですよね。

「今日できることは明日まで延ばすな」

ではなくて、

「いま確実にできることを無理のない範囲でやる」

これが大事。
 

重大な決断は先送りにする

とは言え、抑うつ状態に陥った私がこういった話を聞いても、気持ちを落ち着けることは難しかっただろうと思います。

希望が一切なくなって、絶望の選択肢しか残されていないと思い込んでしまう。冷静でなんかいられない。自分がどうすべきか考えようにも頭がボーっとしていて、筋道を立てて考えられない。

不安感、焦燥感、罪責感……。感情に流されるまま、どんなことでも悪い方悪い方に考えてしまいます。

うつ病で症状が悪いときには、大きな決断を先送りにした方がいいと言います。

離婚、退職、お金のやりとりなど、「みんなに迷惑をかけてしまう」という思いから、結論を急いで、本意ではない答えを出してしまう。そういう人は少なくないようです。

「今日できることは明日まで延ばすな」が染みついていると、先送りにすることが悪いことのように思えます。でも、今振り返ってみれば、私は全然冷静に考えられていなかった。「もっとこうすればよかったな」と思うことがたくさんあります。

だから、まずは休もう。そして、回復してから考えよう。

症状が悪いときほど要注意。環境や人間関係に問題があって精神的な負担が大きい場合も、焦って決断しないこと。家族や周囲の人と相談しながら、自分に合った無理のない選択をすることが大切です。

うん、ほんとに。
 

最後に

こうして私は、現状をきちんと把握することの大切さを学んだのでした。

そして、「今日できることは明日まで延ばすな」の代わりに掲げるようになったスローガン。

「明日でいいことは今日やらない」

前倒しで事を進めるより、コンディションを整えて臨むことが大事。

焦って、突っ走って、ズッコケたら、ケガをします。マラソンでスタート直後に全力疾走したら、すぐにバテて完走は困難です。

そういう事態に陥らないよう、息切れしない戦略を立てる。

残念ながら、私は計画を立てるのが苦手です。それでも、ノープランで行こうとする自分に「戦略は?」と質問することで、いったん立ち止まることができます。

「明日でいいことは今日やらない」

焦って強迫的になったとき、思い出したい言葉です。

 
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1 COMMENT

せり

ああ・・・今日の私にぴったりです。ありがとうございます。

冒頭の英語、私も好きだったんです。

なんでもかんでも早めに終わらせたくて、先送り体質の夫にイライラしてました。
ちょいと、心がけてみます。

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