割り切れないのは、傷つけられた痛みを恐れているから

先日読んだ『整理整頓 女子の人間関係』という本に、なるほどと思うことが書いてありました。

以前「人は人、自分は自分」と割り切れないのはなぜかという話を書いたのですが、こちらの解説の方がしっくりくるかなーという気がしましたので、そのあたりのポイントを紹介しつつ、ぼんやり考えたことを書いていこうと思います。

自分と他人の間に境界線を引けないのは、傷つけられてきたから

著者の水島広子先生によると、他人から傷つけられてきた人は、「自分の領域」と「他人の領域」の区別がつきにくいのだそう。本来守られるものであるべき「自分の領域」に踏み込まれ傷つけられてきたため、「自分の領域」が尊重されるべきものだと知らないのだと。

例えば、自分を守るため、いつも相手の顔色をうかがいながら生きてきた人。

察することが当然になると、相手の「領域」はこうだろうと決めつけてしまいがち。自分の「領域」についても同様で、「言わなくてもわかるでしょ」という態度につながってしまいます。察することが当たり前だから、「伝えなければわからない」ということがピンとこない。

さらに、「相手が自分を傷つけるかどうか」というところに焦点が当たっていると、「人は人、自分は自分」という見方ができなくなるのだと。

自分を守るために、いつも人の顔色をうかがう。ひどく傷ついた経験があるのなら、これは当然の反応だよなぁというのが率直な感想です。

自分の領域は尊重されるべきものだと実感する機会がなかったら

それぞれの人にはそれぞれの事情があり、本人にしかわからない「領域」がある。相手の「領域」のことを勝手に決めつけたりしてはいけないし、自分の「領域」のことは自分が責任を持って伝えなければわかってもらえない。

こうやって言葉にすれば当たり前に思えるのですが、感覚として染みついているものは、簡単に変えられません。熱い鍋をさわった瞬間パッと手を引っ込めるように、反射的にそうふるまってしまうのですよね。

これを矯正するのはなかなか大変です。

そもそも、

「自分の領域は自分で守る」

これを知らないうちから、ズカズカ自分の領域に踏み込まれたら守りようがありません。傷つけられる経験が重なれば、そりゃ自分の領域が尊重されるべきものだなんて発想すら浮かばなくなるのも致し方ないことで。なかなか難しいところではあります。

傷つけられたあなたのその傷は癒やされるべきもの

さて、「他人から傷つけられる」とは具体的にどういうことなのでしょうか。

先の本の中では、次のような表現がされていました。

  • いつも自分を否定されて育ってきた人
  • 虐待的な扱いを受けてきた人

文字通り、いじめや虐待、犯罪被害など、物理的にひどく傷つけられた経験はもちろん、精神的に傷つけられた経験も大きなダメージになっていることでしょう。「毒親」からの否定に苦しんでいる人の話もよく聞きます(毒まではいかないけれど、家族や身近な人との関係によって傷ついた……という経験をしている人もいると思います)。

精神的な傷は、受け取る側の性質によっても違ってきます。鋼鉄のように頑丈な素材もあれば、ティッシュや金魚すくいのポイのように簡単に破れてしまう素材もある。人の性質も同じように個体差がある。だから、「あの人に比べれば、自分の経験なんて大したことはない」と言うことはできません。

だってね、壮絶なサバイバーの話を聞いたりすると、つい比べてしまうこともあるじゃないですか。「こんなことでウジウジ言ってる自分は弱い人間だ」みたいなアレ。

こういう「こんなことで傷ついたなんて思っちゃいけない」「別に平気だよ」という態度、これがまたけっこう曲者なんじゃないかと思ったりもします。

自分の傷は自分にしかわからない。

あなたが痛いと思ったのなら、それは癒やされるべき傷なのだと。

最後に

傷つけられた傷をどうやって癒やすのか。

このことは『女子の人間関係』の本旨ではないので、明確な答えは示されていません。

水島広子先生の本は数冊しか読んでいませんが、「傷つけられた」というフレーズをよく使われている印象があるので、他にもいろいろ読んでみようと思います。

きっと何か糸口が見つかるはず。

糸口が見つかったからと言って、解決に近づくとは限らないのですけれど。
 

1 COMMENT

みっちぃ

ある時に気がつきました。 自分が「死にたい」と思う原因は、
「毒親」の父からの、心無い発言だったと。
29年前の交通事故のトラウマから、死にたいと思うようになりましたが、
その時、さらに追い打ちをかけたのが父親であったと。
とても深い傷、とても大きなダメージすぎて、深い所に沈めていたのが、
ある時に思い出されたのです。
で、傷をどうやって癒やすのか。 まだ、わかりません。
ずっと、生きづらさを抱えていくんでしょうか。

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