心の相談窓口・困ったときは保健所に相談してみよう

ニット帽をかぶった女性

心の病気や悩みの相談先として挙げられる保健所。

周りに頼れる人がいなくて困っているとき、精神保健サービスはきっと助けになるはずです。

ただ、利用する機会のない人にとっては、気軽に相談できる場所ではないかもしれません。

知らないところへ行くのは不安なもの。さらに、心身が弱っていると、問い合わせることさえハードルが高くなります。

そんなときは、まず知ることから始めましょう。不安や心配は、知ることで軽くすることができます。

今回は、保健所のメンタルヘルスに関する窓口についてまとめました。「保健所ってどんなところなの?」「私が相談していいの?」といった疑問を持っている人、初めて利用する人の参考になれば幸いです。

保健所とは

保健所と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?

お母さんと子どもの健康(予防接種など)、食品衛生、感染症に関するものを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。私は「保健所=犬猫の殺処分」というイメージが強かったです。

これらの保健サービスの他に、心の健康に関する窓口があることはご存知ですか?

「健康づくり」も保健所の大事な仕事。心の病気や悩みがあって困ったときには、相談にのってもらえます。

私は自分が病気になるまで、そういったことを知りませんでした。それどころか、保健所に対してほのかな恐怖感さえ持っていました。子供の頃、殺処分という言葉を聞くと怖くて、その印象が拭えないままだったんですよね。それプラス、公的機関を利用する心理的なハードルが高かった。そういう人ってきっと私だけじゃないんじゃないかなぁと思います。

当然のことながら、保健所はまったく怖いところではありません。地域の人々の健康と衛生を支える公的機関、私たちの味方です。

保健所と保健センターの違い

保健所は、都道府県、市、区に設置されている公的機関です。

これと似た機関に保健センターがあります。保健センターは市区町村に設置された施設で、母子保健や老人保健の拠点となっています。

保健所はより専門的な部分をフォローする行政機関、保健センターは、保健指導や予防接種、検診など地域に密着した対人サービスを行う施設、と説明されることが多いようです。

保健所 ・設置できるのは、都道府県、政令指定都市、中核市、特例市、特別区
・人口動態統計、栄養改善、医療監視、公共医療事業の向上・改善、精神保健、伝染病の予防
・保健所所長は原則として医師
保健センター ・地域の母子保健・老人保健の拠点
・市町村レベルでの健康づくりの場
・保健士が中心

最近は、保健所と保健センター(あるいは福祉事務所)が統合され「保健福祉事務所」「福祉保健所」「福祉保健センター」「健康福祉センター」などの名前になっているところもあります。

メンタルヘルスに関する窓口の名称も自治体によってまちまちなので、混乱してしまいそうですね……。

まあ、厳密には違いがありますが、どちらも悩みを相談できる場所だよ、と捉えておけばよろしいかと思います。

<参考サイト>
全国保健所長会
・Wikipedia(保健所市町村保健センター

保健所で相談できること

うつ病などの心の病気になった人が保健所へ行くとき、主な利用目的は以下の3つになるかと思います。

1. 自立支援医療費(精神通院)の申請

自立支援医療費(精神通院)とは、精神的な病気の治療に対して、医療費の自己負担を軽減する制度です。

主治医に意見書をもらい、保健所(その他担当窓口)でもらえる申請用紙とあわせて提出します。申請用紙は、自治体のウェブサイトからダウンロードすることもできます。

詳しくは「うつ病治療費を軽くする自立支援医療制度(精神通院医療)を利用しよう」でご紹介しています。

2. 心の健康相談

保健所、保健センター、健康相談センターなど、自治体によって多少違いがありますが、心の相談窓口が設置されています。

相談は無料。心の病気、医療、社会復帰に関する相談にのってもらえます。

対応してくれるのは、保健士、医師、精神保健福祉士など専門職の方。形式は、電話相談、面談、訪問など。こちらも自治体によって違います。

事前予約制となっている窓口がほとんどです。まずは、電話で問い合わせてみましょう。

地域の広報誌でも、相談会やメンタルヘルスに関する情報が定期的に載っています。

3. 保健所の病院紹介

厚生労働省の「医療機関の探し方、選び方」ページでも、相談先に保健所が挙げられています。地域の実情を把握している機関なので、確実な情報を得るには適切だと思います。

また、心の健康相談で、必要に応じて専門の医療機関や専門医を紹介すると案内している自治体もあります。

ただし、特定の病院を「ここ良いよ~」とおすすめしてもらうことはできません。あくまでも「こういう病院がありますよ~」というスタンスです。

私の体験談

転院するときに、どんな病院があるか保健所に尋ねたことがあります。

まず、電話で問い合わせをしてみたところ、以下の回答を得ました。

「特定の病院を紹介することはできないの、ゴメンネ」
「サイトに自立支援医療費の指定病院一覧があるよ」
「直接来所してくれれば、一覧リストは渡せるよ」

せっかくなので、直接窓口に行ってみましたら、総合受付で簡単な一覧表をいただけました。電話の話しぶりからすると、初めて受診する人や自立支援医療費制度を利用する人には、申請方法などと併せて、もう少し詳しく相談にのってもらえそうな雰囲気でした。

おそらく最初の問い合わせで、精神科に通院中で近くに転院先を探している旨を伝えたため、「大体の感じはわかるっしょ?」てな具合だったのかなぁと予想します。そして実際、私はその情報(病院リスト)で取りこぼしがないか確認したかっただけなので、「オッケー、サンキュー」という感じで終わりました。

というわけで、懇切丁寧なアドバイスを期待していくと、ガッカリしてしまうかもしれません(このあたりは人による気もします。あとタイミングとか)。ある程度、情報を集めてから行くと、有用な回答が引き出せそうです。

その他

デイケア

自治体によっては、デイケア(入院予防や回復期のリハビリのために行われる、福祉・医療機関によるサービス)を行っている保健所もあるようです。

精神科通院をしている方を対象にしたデイケアには、学習会やグループ活動、リクリエーション活動などがあり、社会復帰に向けた準備ができます。

保健所以外では、精神保健福祉センター、公立デイケアセンター、市町村が行っています。また、医療機関による精神科デイケアもあります。

各種手続き

自立支援医療費以外にも、障害者を支援する制度があります。生活に困ったときは、保健所をはじめとする公的機関(精神保健福祉センター、病院の医療ソーシャルワーカーなど)に相談してみましょう。

まず電話で聞いてみよう

わからないことがあるときは、まず電話で問い合わせてみると良いと思います。

とはいえ、「電話するにも勇気がいる……」という人もいるかもしれません。ただでさえこういう問い合わせって面倒なのに、心身のエネルギーが低下しているときにはかなり大変。頭の中がぐちゃぐちゃで、何を伝えたらいいかわからなくなってしまうこともあります。

そういうときは、目的や現状などを簡単にメモしておくと、話しやすくなります。

・今の状況
・困っていること
・必要なもの(何を?いつまでに?)

どうしたらいいかわからないときは、その旨を伝えましょう。どの窓口に相談すれば良いかなど、案内してもらえると思います。

誰にも相談できない?

いくら相談窓口を教えられても、相談することに抵抗がある人はいるでしょうし、「そんなんじゃ意味ない」と言いたくなることもあるかもしれません。

知らないところへ行くのは不安だし、「嫌なこと言われたらどうしよう……」と考えたら怖くなってしまいます。さらに、心身が弱っているときには、ちょっとした手続がとてつもない大事業に思えてしまうし、時間もかかる。考えもまとまらない。

そんな状況を打開するのは簡単ではありません。でも、何もしなければ、何も変わりません。ますます状況が悪化する可能性も高まります。

とにかくまずは勇気を出して一歩踏み出すこと。

このページでは、保健所についてまとめましたが、保健所以外の公的機関も利用できます。

業務内容に違いはあっても、さまざまな制度やサービスが困っている人をサポートしてくれます。

もしかしたら、事務的な対応で、期待した答えが得られないこともあるかもしれません。冷たくあしらわれてしまうこともあるかもしれません。

それでも、何らかのヒントは得られるはずです。親切な人もいます。

何とか地道に打開策を模索していきましょう。

 

<自治体の相談窓口>
全国の保健所 – 全国保健所長会
治療や社会復帰に関する相談に、保健師などの相談員が対応してくれます。地域に密着した身近な相談窓口です。

全国の精神保健福祉センター – 厚生労働省
自立・社会復帰・社会参加を目指す施設です。心の病気、精神医療、社会復帰に関する相談に乗ってもらえます。

その他の相談窓口・リンク一覧

1 COMMENT

みつき

お邪魔します。

公的機関って本当ピンキリです。
良い人に当たればいいけどポンコツさん(残念ながらかなりの確率でいます)に当たると、もー生きる気力が無くなるほど大ダメージを受けてしまいます。
電話相談もすごく意を決して掛けてみて話し中だと、「私の電話は受けてもらえない…っ」とか思ったり。

しんどい時に利用するよりもかるーい気持ちの時に利用した方がいいんじゃないかしら、と思ったりします。

お目汚し失礼しました。

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